Q:通常総会の議案で、長期修繕計画改定案の中に「専有部分の配管修繕工事」が入っています。国土交通省の積立金に関するガイドラインに専有部分は入っていませんし、そもそも、管理組合の業務や管理委託契約書では管理の対象を共用部分としているのではありませんか、疑問があります。
A:管理組合による
マンション管理の対象が原則としてマンションの共用部分であることは、区分所有法の原点になっているのは確かです。しかし、現在のように、マンションが高経年化し、さらに長寿命化を目指すとき、以下に示す状況が出始めているのも事実です。
- 高経年マンションの状況
① マンションの高経年化に伴い、配管類などの劣化が進み、専有部分の配管類を含めて更新する必要が出てきました。
② 一方、原始(管理開始時)管理規約では、管理組合による修繕工事の対象や修繕積立金の取り崩しは、原則としては、共用部分を対象としています。
③ ところが、①の中で共用部分の配管類を管理組合で更新しても、専有部分の配管類を含めないと、各区分所有者が責任を持って更新できるわけではありません。特に仕上げ床下の配管類については、水漏れ事故が起き下階から指摘されるまで、当事者は分からない場合が多いのです。
④これまで、管理規約の改定を行わずに更新工事の実施のみを総会決議している管理組合も多々ありますが、中にはクレームが出て実施できなかった住戸や、裁判沙汰になったケースも出ています。
⑤そこで管理組合として、「専有部分の配管類」を管理組合で一斉更新工事ができるように、予め管理規約のなかで、修繕工事の対象や修繕積立金の取り崩し内容を改定する必要があるのです。
⑥一方、更新工事の直前に区分所有者がすでに配管を含めて更新した場合も想定して、その場合は「同等以上の仕様で最近更新した場合は、相当額を補助し補填ができる」ことを加筆している管理組合もあります。
⑦何よりも、区分所有者の「合意形成」が基本ですので、皆さんで良く話し合って進めてください。
⑧参考に、総会決議した本件に関連する規約改定の事例を下記に示します。(条項名は、マンション標準管理規約単棟型に準じます。)
敷地及び共用部分等の管理)
第21条 第1項は省略
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分で、共用部分及び隣接・階下の各住居に著しい影響の起こる可能性のある場合において、設備配管、電気配管、通信設備等については専有部分であっても、管理組合は、修繕を行うことができる。区分所有者は正当な理由なしに工事を拒否できない。
3 前項にかかわらず、当該区分所有者が第1項の工事内容と同等以上の仕様で一定の期間内に遡ってすでに工事実施済みの場合、管理組合は、当該区分所有者に対して一定の損失を補填することができる。
4項以降は省略
(修繕積立金)
第29条 管理組合は、・・・、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費を充当する場合に限って取り崩すことができる。
一号~五号は省略
六 第21条第2項から第3項に示す、管理組合による専有部分の修繕等
(文責/山本育三(監事))