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携帯基地局の設置

Q:屋上に携帯電話基地局を設置させてほしいと携帯電話会社から申し出があります。管理組合としてはどのように考えたらいいのでしょうか?

 

A:携帯電話のサービスは当初の電話機能からインターネット接続機能が加わり、人々の生活になくてはならないものとなっています。

また、「個人的には携帯電話を使わない」とする場合も、パソコンやタブレットの無線通信、電話やガスなどのメータ管理や自動販売機などさまざまな在庫管理に活用されるなど、現実的には生活インフラを支える無線通信網の一部を担う存在となっています。

◆基地局設置は今後増える

一方、限られた周波数(チャンネル)の有効活用には、小さい範囲のエリアをカバーする携帯電話基地局を多数設置する必要があります。今後、5Gへの移行もあり、将来にわたってこれで設置完了というゴールはないと考えてよいと思います。

特に利用者が集中する繁華街や集合住宅では重点的に設置することが求められています。(電気通信事業であるので回線の混雑を理由に加入を断ることは認められず、一方、回線の混雑は利用者の不満に直結するだけに、非常に悩ましい課題ではある。)

そのような状況であり、携帯電話各社では基地局の設置場所を確保するため、さまざまな場所への設置交渉を継続しており、マンション敷地内やマンション屋上も例外ではありません。

◆検討すべき項目

マンション管理組合が基地局設置の打診を受けた際に検討すべき項目は以下のとおりです。

①その構造物(基地局設備)を設置しても物理的に支障はないのか

②健康被害はないのか

③組合として収入が期待できるのか

④設置許可をするための手続き

①については、携帯電話会社(あるいは委託された会社)が設置設計にあたって強度計算などをしているはずですが、打診された際に確認することが必要です。

基地局の仕様はさまざまであり、構造、大きさ、重量が大きく異なるので、具体的に予定されているものについて確認します。

②につては、設置にあたって携帯電話会社は総務大臣の無線局免許を取得する必要があります。また総務省では「電波防護指針」を定めており、それに基づく申請でないと免許されません。このような規制の範囲内で整備されるため、健康被害は通常、発生しないと考えてよいと思います。

③については、携帯電話会社が提示する賃料や電気料金の負担が妥当であるかどうかは、管理組合個々の判断によるものです。収入に対する税負担も同様です。

④については、通常の理事会で判断できる範囲を超えており、総会での決議が必要です。特別決議か普通決議かの判断では、普通決議事項であると考えられます。「形状」又は「効用」の「著しい変更を伴う」か否かの判断は終局的には裁判所の判断によるものですが、これまで各地に設置されてきた一般的な基地局を屋上等設置する行為そのものは、マンションあるいは屋上の形状または効用の著しい変更を伴うものではないと判断してよいものと考えられています。

◆健康被害への考え方

一方、特別決議であるか普通決議であるかに関わらず、設置運用開始後に健康被害を訴える住民が出てくる場合があります。しかし、電波と健康被害における因果関係の立証は非常に困難です。これらに関して相当以前には携帯電話端末と心臓ペースメーカーを22センチ離せば被害はない、という判断もありましたが、それが15センチになり、最近はほとんど影響はないとされています。しかし、頭痛などの被害を訴える例は相談事例として実例があります。(同様にネオンやエアコン室外機などからの不快な音(振動)を訴える例がある。)

これに対しては管理組合ではなく、設置した携帯電話会社が対応すべきことだと考えます。

現実的な対応策には詳しくありませんが、最終的には撤去に至るケースもあるようです。携帯電話会社にすれば時間をかけて解決策を試すより、別の候補地を探す(移転させる)ことが現実的だと判断するからでしょう。(文責/半田理(管理運営部会))

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