9月19日18:30から川本工業㈱ビルで設備分科会Aグループによるセミナー「設備改修基本計画と改修事例・トラブル事例」を開催しました。
建物が体の骨格だとすると、設備は臓器や器官に当たりどちらもしっかり守らないと健康な体は維持できません。給排水設備も劣化や事故により、機能を果たせなくなったら改修工事が必要となります。前回の「設備の仕組」に続き「設備改修の基本計画」「改修事例」「トラブル事例」についてセミナーを開催しました。
セミナーの第一部は「マンションの給排水設備の基本計画とは」について技術者部会((有)トム設備設計)の町田信男氏が、給排水設備の基本項目の重要性について説明され、具体例の基本計画検討書を示し講演しました。
《改修基本計画とは》
1.設備改修に基本計画は必要?
100戸のマンションで漏水事故が短期間(1~2年)に3か所発生したら、パ
ーツの修繕ではなく、システム全体の設備改修の対応が必要か、二重投資
防止のため行う事が基本計画である。
2.いつ・誰が改修基本計画の作成を行うの?
1) 長期修繕計画の設備改修年度の2年程度前の調査結果で改修判断がでた
2) 1か所の漏水事故後、システム全体の詳細調査診断の結果改修判断でた
3) ポンプ・水槽等に不具合が発生した時、設備システムの変換を含めた検
討後修繕対応する。
4) 管理組合とパートナーの協働作業(マンション改修実績・設備システム理
解・コミュニケーションが取れる人)ができる改修設計事務所・マンショ
ン改修設備工事会社
3. 設備改修の基本計画は工事内容の仮決定作業(実施設計前に行う)
➀現在の設計システムの把握
②現状把握での痛みの確認
③改修する範囲(機器・管・器具・建築解体復旧)の検討
④改修するシステム返還の検討
⑤改修工法(更新・更生)の検討
⑥改修材料の検討
⑦改修配管経路の検討
⑧改修時期と工期の検討
⑨概算工事費の検討
⑩改修設計を実施するため③~⑨の最終判断をコンサルと協働で行う
調査結果・基本計画説明会を開催し、住民に工事の必要性を理解してもらう
ことが大事です。
第二部は「直結増圧改修・専有部給水、給湯設備改修工事施工事例」「トラブル事例(ホントにあったこんな話)」について専門業部会(川本工業㈱)の堀金俊介氏が講演しました。
《施工工事事例》
初めの施工事例は、建物の特徴と施工前の懸念事項にどう対応するか、工事体制をどう組むかを検討し、各工事の綿密な計画のもと施工実施しまし」た。
直結増圧給水改修工事は増圧ポンプの選定・特長の説明があり、ポンプ搬入据付工事では据付までの工程、仮設給水管工事のメリデメ、共用給水管改修工事ではメーターユニット・配管現物説明、屋上配管・ハト小屋工事(なじみ無い用語だが雨仕舞い用上屋)、FRP水槽類撤去工事などいずれも多くの写真で示され分かりやすかった。時間不足な中で全体工程表・専有部工程表では工事の流れ、工事内容、露出配管の注意点に関して説明があり、改修後のアンケートでは大変満足頂いたとのことです。
《トラブル事例》
多くの関心を集めたのは、川本工業㈱関連でここ7年位に発生した工事上の「トラブル事例」36件です。トラブルの防止を目指し記録したものです。
外出トラブル:ちょっと外出と言い戻らず等 3件
入室拒否:入院予定だったが家に戻り工事が進まず等 8件
ごみ問題:度を超えるごみ量で工事不能等 2件
排水禁止:排水禁止中の排水等 3件
断 水:断水作業中に開栓し外出・工事終了後漏水 1件
ペ ッ ト:大きな豚を室内で飼い異臭等 5件
内装工事:経年劣化の内装材と貼替材の色合わず等 2件
裁判事例:積立金滞納者が工事拒否、管理組合訴訟等 2件
事 故:一人暮らしの高齢者死亡等 3件
トラブル:コア抜きで電話配線破損等 6件
その他 :作業員の熱中症で業務ストップ等 1件
大切なことは、トラブルの内容を吟味し、発生を防止するための改善に努め、事例をもとに対応策を準備することです。
セミナーは35名が参加され、ユニークな講演の内容「トラブル事例」を熱心に聞き入り、時間を超える質疑が行われました。