~ 工事詳細確定から工事の実施を決定するまで ~
11月7日(木)Lプラザにおいて、昨年開催したCグループ・セミナーの後編、大規模修繕工事の<ステップ4 工事詳細決定>から、<ステップ6 工事の実施>を決定するまでの重要なポイント、について解説があった。
阿部一尋理事
◆《ステップ4 工事詳細決定》◆
続いて技術者部会の片山啓介氏は、STEP4(工事詳細設計)修繕実施設計のポイントについて説明。通常、これはコンサルタントに依頼して行う作業。
管理組合は、広報誌などで工事目的など周知を図り、説明会等で工事の内容・工事の時期・工事費用と資金計画などの理解を得る必要がある。
設計図書とは、発注者(管理組合)と受注者(工事請負業者)が意思統一するツール。工事仕様書、図面・工事内訳数量書・工事予算書などがある。
仕様書は居住者の日常生活の維持という視点から、管理組合としてはチェックが必要だ。その他、仕様書は工事内容を明確にし、修繕・改修方法や手順などを表示する役割を果たす。
設計図面は、施工する範囲、材料などを図として補足するためのもの。予定内訳数量書、工事予算書とともに「実数精算項目」の理解を得ることも必要だ。
片山啓介氏
◆《ステップ5 施工会社の選定》◆
STEP5(施工者・工事費決定)施工会社選定については専門業部会大賀久美子氏が説明。
公募する場合は➀入札方式、②見積もり合わせ方式、公募しない場合は➀特命随意契約方式がある。
見積もり合わせ方式では公募の方法・公募条件などを決め、公募条件として、技術力、対応能力、業績が比較できるよう技術者数・施工実績等の表を作成する。
選定に関しては書類選考のポイントが明確になるように、選考項目別に分類した比較表を作成して、依頼する会社の絞り込みを行っていく。
数社に対し、見積要綱(要領)書と設計図書を配布する。次いで現場説明会を実施。工事の特殊性や実数精算の有無、提出日や回答日時について説明する。見積依頼会社とは平等、公平に個別に面談し、現場視察を行ってもらう。
提出された見積書を検討するために比較表を作成し、金額・技術力・計画性・管理体制などを判断材料とする。
施工会社の選定に当たっては、各社の得意分野、工期に関する考え方、居住者の利便性確保や費用削減、現場代理人の人柄等を検証する。
大規模修繕工事が成功するか否かの鍵は、現場代理人の技量次第といっても過言ではない。ヒアリングを行い現場代理人の資質・人柄と会社の姿勢を見極める。
理事会で施工会社を内定したら、見積りを依頼した会社に対して内定通知または落選通知を早く知らせておくのも礼儀だ。
大賀久美子氏
◆◆◆《総会決議》◆◆◆
STEP6(工事の実施を決定)総会決議については、専門業部会青木智史氏が説明。
総会議案書には施工会社、発注金額、資金計画、工事内容、工事期間、管理組合の体制、工事監理者、その他を記載する。
総会開催前には住民説明会も必要だ。
総会で承認された後、工事請負契約を調印するに当たっては、➀請負契約書 ②工事請負約款 ③工事仕様書、設計図 ④工事請負明細書等を確認して行う。
設計事務所に監理業務を委託する場合は、名称、業務内容、業務範囲、責任範囲などを工事受注者へ通知しておく必要がある。
青木智史氏
◆◆◆《前編・後編のまとめ》◆◆◆
セミナーの全体のまとめを専門業部会浜村友一氏が行い、工事の準備から工事の実施までを医療行為に例えて総括し、段階的に準備を行っていく重要性を再確認した。
浜村友一氏
前回のおさらいと工事全体をまとめた説明は、セミナー終了後のアンケート結果においても好評であった。(編集部/宮井)