土砂災害から命を守るために
土砂災害防止法とは(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)、土砂災害から国民の生命を守るため、土砂災害のおそれがある区域を明らかにし、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地抑制、既存住宅移転促進などの対策を推進しようとするものです。
1.警戒区域の確認
土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況等について基礎調査を行い決定します。具体的には航空写真から三次元の地図を作成し、その後、現地の地形、対策施設の状況、土地の利用状況等の現地調査を行い、土砂災害により被害を受けるおそれのある区域を設定します。
1)土砂災害特別警戒区域 (通称 レッドゾーン)・・・建築物構造規制、移転勧告
避難に配慮を要する方々が利用する要配慮者利用施設等が、新たに土砂災害の危険性の高い区域に立地することを未然に防止するため、開発段階から規制していく必要性が特に高いものに対象を限定し、特定の開発行為を許可制とするなどの制限や建築物の構造規制等を行う区域
2)土砂災害警戒区域 (通称 イエローゾーン)・・・警戒避難体制整備要
土砂災害による被害を防止・軽減するため、危険の周知、警戒避難体制の整備を行う区域
土砂災害警戒区域に指定されると、不動産取引において、宅地建物取引業者は土砂災害警戒区域である旨を記載した重要事項説明書を交付し、説明を行わなければなりません。
(土砂災害警戒区域等は、土砂災害の防止に関する工事や開発行為に関連する対策工事等の地形改変が行われて、安全性が確保されたと認められた場合には、区域の見直しを行います。また、概ね5年毎に実施される基礎調査により、土砂災害警戒区域等の指定の範囲が変わる場合もあります。)
2.警戒区域の確認方法
マンション敷地が、土砂災害のおそれのある区域かは下記で調べられます。
また、リアルタイムの警報システムなので、局所的な雨雲による集中豪雨も確認できます。警戒区域外であっても、雨量(「1時間で20mm以上の雨」又は「連続した100mm以上の雨」)によっては危険となる場合があります。
神奈川県土砂災害警戒情報システム(神奈川県土砂災害情報ポータル)
*横浜市では土砂災害ハザードマップを各区区役所で配布しています
横浜市各区の土砂災害ハザードマップのダウンロードはこちらから
3.がけ地の管理について
土地の所有者(マンションの場合、土地は区分所有者の共有になっているはずですので全区分所有者)は、がけ地に設置されている擁壁を安全に維持管理する責任があります。
日ごろから点検や補修などに努める必要がありますが、この日常的な点検等をだれが行うのか。特に法的に定められたガイドラインがあるわけではありませんが、結局、管理組合(例えば防災委員会等)の仕事ということになるのでしょう。
この日常的な点検や定期的な調査等の安全管理は、管理会社や身近な専門家等に依頼してみるのもいいでしょう。
ここでいう専門家とは、開発を手掛けた分譲ディベロッパーやゼネコン(土地のデータを保存している可能性がある)、法面工事の専門会社か工務店などが考えられます。
管理組合としては下記「チェックシート」などを使って日常管理を行うことも必要です。
・擁壁チェックシート(石積み・ブロック積み擁壁のチェックシート)
4.防災対策に対する助成金制度
横浜市の助成金制度では、がけ地の調査に係る助成は行っていませんが、補修工事を必要とする場合には、一定の条件の下で市の助成を受けることができます。
1)崖地防災対策工事助成金制度(間知石積擁壁又は鉄筋コンクリート擁壁の築造)
2)崖地減災対策工事助成金制度(既存擁壁の補強、自然斜面の保護等)
3)急傾斜地崩壊対策事業補助金(神奈川県の事業)
急傾斜地の崩壊による災害を防止するため、一定の基準に該当する場合は、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に 基づき、神奈川県が急傾斜地崩壊危険区域を指定のうえ、崩壊防止工事を行います。
道路等に面する危険なブロック塀等の改善工事に対する要する費用の補助
※地球環境の著しい変動により引き起こされる、予測できないような災害に備えて、ハザードマップの確認や敷地の日常点検等を行い、生活範囲・行動範囲の内にある危険な場所の把握が必要です。
(以上、防災WG)