トピックス&コラム

ホーム >  トピックス&コラム >  相次ぐ、管理会社の値上げ提案(要求)と解約通知

相次ぐ、管理会社の値上げ提案(要求)と解約通知

管理会社の値上げ提案(要求)と契約辞退が相次いでいる。

マンション管理新聞社が行った管理会社への雇用環境・管理受託状況調査(昨年8月~9月実施、対象は管理受託規模別大・中・小それぞれ10社ずつ30社)によると、すべての管理会社が「管理費の値上げの必要性を感じている」、約9割が「値上げ提案を行っている」、約7割で「契約辞退等の措置をとることがある」と答えている。

◆値上げの要因◆

「値上げ」要因としては「最低賃金の引き上げに伴う人件費の上昇」が最も多く、次いで「人件費の上昇・高騰」、「協力会社からの値上げ要求」となっている。

最低賃金は、東京都で1,013円(神奈川県は1,011円)と5年前に比べて15%、10年前では約30%も上がっている。特に管理員や清掃員の人件費の高騰が値上げ圧力になっていることは間違いなさそうだ。

値上げ要因のもう一つの要素として「働き方改革」があげられる。労働時間を短縮し、有給休暇を積極的にとるなど、コンプライアンス重視の流れが協力会社など下請け会社にも及んでいることを物語る。

これまで管理会社は、契約内容の仕様変更(点検回数、清掃回数の縮小など)のレベルダウンによって実質的な値上げを行ってきたところが多く、契約の辞退というケースはまれであった。

しかし、人員確保が困難になるなど管理会社としても自助努力では改善の余地が少なくなっているのか、最近では、契約の辞退を申し出る管理会社も目立ち始めている。

◆管理組合の対応は◆

浜管ネット会員管理組合でも、マンションの規模を問わず、「値上げ提案(要求)」→「契約辞退」のケースが見られるようになり、この件に関する相談も増えている。

管理会社は、これまで「量的拡大」を目標に、リプレイス(他社の物件を受託すること)を盛んに行い、苛烈な価格競争をしてきたといわれる。今回の値上げ提案は経営方針の大転換を意味する。

管理組合としては唐突な値上げ要求に戸惑いつつも、一定の理解を示すところもある一方、なかなか受け入れられずに契約を解除されるケースもみられるようになった。

値上げ要求が理解できる範囲なのか否か、の判断を管理組合で行うのはなかなか難しい。なぜなら、マンションは「一品生産」の完成物であるから、契約内容の仕様そのものが他のマンションとは必ずしも一致しないからだ。

やはり、「相見積もり」に応じてくれる管理会社に依頼して、現に契約している管理会社と同じ仕様で、見積もりを取って比較してみるしか適当な方法が見当たらない。

◆不満の蓄積◆

もともと委託契約の内容にはあいまいな部分が多く、その結果、管理会社、管理組合双方に不満が蓄積している場合があると指摘されてきた。

管理会社にしてみれば役員の長時間の電話や暴言のほか、契約にない事項の要求など、我慢を強いられ不満もたまる。

一方、管理組合は「管理会社は他にいくらでもある。少々の無理は聞いてくれて当たり前」の感覚がなかったとは言えない。お互いが協力し、理解しあう関係にならないとマンション管理そのものがうまくいくはずもないのに、である。

管理組合は、管理会社に対する過度の依存から脱却しなければならないのであり、管理会社は、今後、管理組合に対して毅然と、自立を促し、適切な助言を行う関係構築が必要だ。

自立した管理組合こそ、管理会社にとっても一番有り難い顧客だと思うのである。(編集部)

ページの先頭へ

特定非営利活動法人
横浜マンション管理組合ネットワーク

〒232-0014 横浜市南区吉野町2-5
サウスライン横浜 4階 A

TEL:045-341-3160
FAX:045-341-3340