トピックス&コラム

ホーム >  トピックス&コラム >  コロナ禍で考えた3つのこと

コロナ禍で考えた3つのこと

コロナ禍で考えた3つのこと
濱地秀平(個人賛助会員/マンション管理士)

昨年4月7日新型コロナによる緊急事態宣言が発令されて1年が経過したが、国民のワクチン接種率60%で集団免疫が整うか、コロナ変異株で感染拡大が抑えられるか、これからが正念場のようですが、体力があり自ら動ける企業はコロナ前の状態に戻りつつあるものの、国策で動きを止められているサービス業界は瀕死の状況に陥っています。
コロナ禍で考えたことを三つほど上げさせていただきます。
1.コロナ禍での理事会運営と総会開催をどうするか
浜管ネットへの寄稿のため、まずは、当マンションの管理組合の状況報告をさせていただきます。 当マンションは80世帯で築後43年を迎えた旧耐震建物ですが、4年ほど前に横浜市の「あん震マーク認定証」を受けたことから若い7世帯が組合員となり、居住者の平均年齢が下がりつつあります。 理事会は輪番制で2年ごとに半数を改選していましたが、理事会の若返りをはかるため管理規約を改正し、新規居住者2名を上限に優先的に理事に選任することとしました。しかし出席率は改善されないため、理事会運営細則を改正し、理事会に参加者できない場合は議決権行使書で参加をすることとし、議案書等は事前にポスト投函で配布をしてきました。これがコロナ禍でも功を奏し、リモート会議の環境が整わない中でも理事会は運営されていますが、ネックは議案書や資料を作る側に多くの負担がかかり、管理会社、理事長、一部の理事の労力なくしてできないことです。 では5月の通常総会はどうしたものかとなり、当時、巷で言われていた「書面決議」を理事会で検討しました。この手法は議案毎に書面決議での全員同意が必要であり、同意なき議案は総会に上程できないため、反対者に理事会からの説明や説得が求められるものです。そして、コロナ禍で人との接触を自粛するように言われている中では意に反するもので、書面決議説明の冒頭に「書面決議は年1回の事務報告義務は逃れられない」と強いメッセージがあれば話題にはならなかったのではないかと思っています。
国の要請で「三密」を控え、不要不急の外出を自粛するように言われていましたが、管理規約では、総会開催は議長のほか総会議事録に署名する組合員2名の出席者と議決権行使書の合計数が半数以上あれば良いことになっていることから、必要最小限の参加者で10月に総会を開催しました。その影響で新旧理事の交代が延びましたが、その半年間はだらだらとした形だけの理事会に終始した感があります。 今期5月の通常総会は粛々と開催しましたが、今となれば、前期5月通常総会も巷の情報に踊らされることなく、通常通り開催ができたのではないかと思っています。

2.コロナ禍の対策は感染者数を減らすだけなのか
昨年4月、厚労省対策班の京大大学院西浦教授から「今後対策がゼロなら40万人が死亡する」という発表があり、100年前のスペイン風邪の再来になるのかと驚愕しました。 当時の資料では、スペイン風邪で日本の死者数は45万人(人口の0.8%)、外地では74万人の死者が出たようです。今では西浦教授を8割おじさんと揶揄している評論家もいるようですが、現にブラジル(人口は日本の2倍)ではボルソロナ大統領の経済優先策で、感染者数は1,680万人、死者数は47万人となっており、西浦教授の発言は突拍子もない数ではなかったように思えます。
政府のコロナ禍の対応は、医療機関の供給力を増やさないまま医療崩壊だと騒ぎたて、重症者や死者の数を減らすための緊急事態宣言や蔓延防止宣を発出することで、今年5月時点で感染者75万人、死者1万3,000人に留まっていますが、これは自粛を要請され続けられてきた国民の協力があればこその結果です。 コロナ禍の自粛の影響で、失業や倒産、休廃業の影響をまともに受け、自殺者の増加や、女性や若者の貧困、子供の教育の不均衡などの諸問題も多く発生している中、政府は「7月末までには65歳以上のワクチン接種を終える」と声高に唱えるだけで、改善策もなく、コロナ禍後の施策も見えていないのが現状のようです。

3.コロナ禍で行うオリ・パラはなんのためにおこなうのか
「東日本大震災からの復興オリンピック」は遠い昔に言われ言葉のようですが、今は「IOCに莫大な損害金を取られないため」でしょうか。 コロナ禍対策が一向に進まない中、すでにオリ・パラの開催まであと1か月となってきましたが、コロナ感染症対策分科会の尾身会長から、「こういう状況の中で何のためにやるのか」の問いかけに、菅首相は、「安全安心の大会を実現することが、人類がウイルスに打ち勝った証し」「そうしたことが実現できるように対策を講じている主催者に政府の考え方をしっかり伝え、安全・安心の大会にしたい」と精神論で返し、元TBS女子アナの丸川五輪担当相に至っては、「全く別の地平から見てきた言葉」「スポーツの力」と強調するだけで開催するためのエビデンスもないようです。今は、IOC、JOC、日本政府が一団となり、責任者不在の中で何でもかんでもオリ・パラを開催しようとしています。
80年前の為政者のことですが、当時の日米開戦前夜に行われた「総力戦研究所」の敗戦結果を無視し、データよりも日本には大和魂があるという空気で開戦へと導き、大きな悲劇を生みました。今の為政者もその遺訓を忘れ、当時の流れをそのまま踏襲しているように思えます。

昭和16年夏の敗戦 : 猪瀬直樹著より
「日本が80年前の日米開戦前夜、陸・海軍と民間企業から日本の若いエリート達が総力戦研究所に招集され、日米開戦の机上演習が行われた。そこで武力戦、外交戦、思想戦、経済戦が検証され、結果は、石油枯渇による敗戦が歴然となった。しかし、軍部による戦争は「やる」という勢いが先行し、「やれる」見通しがないまま、日和見の企画院総裁から出されたつじつま合わせの石油備蓄量がお墨付きとなり、全員一致という儀式を取り、決断の内容より「全員一致」のほうが大切であると結論づけ、責任者不在のままで日米開戦が決定された。これが今欧米で注目されている日本的意思決定システムの内実であることを忘れてはならない。」とあります。

ページの先頭へ

特定非営利活動法人
横浜マンション管理組合ネットワーク

〒232-0014 横浜市南区吉野町2-5
サウスライン横浜 4階 A

TEL:045-341-3160
FAX:045-341-3340