Q マンションは築40年を超え、給排水管の漏水事故が増えています。管理組合では専有部分の給排水管の取替えが検討されています。現行管理規約では「専有部分である設備のうち共用部分と一体となった部分の管理を共用部部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」(第21条第2項)となっていますが、費用負担については触れていません。管理組合の負担で取替工事を一斉に行うことは可能でしょうか。
A 標準管理規約では修繕積立金の使途について「共用部分の計画修繕等に充当する」となっていますので、修繕積立金を専有部分の工事費用に充てるために取り崩すことはできません。したがって専有部分の工事費用に修繕積立金を充てることができるようにするには、管理規約を改正しておく必要があります。
なお、共用・専有配管を一括して更新工事を行う場合には、専有部分のリフォーム工事をすでに実施した住戸で、配管類も更新している住戸に対しては、一定の費用を返還する等の配慮も必要です。ただ、配管類を更新したといっても一部の専有配管だけしか交換していないケースもよく見られることから、事前にアンケート等によりリフォームの有無や施工の範囲等を詳しく調査しておく必要があります。
管理規約の改正例を以下に示しますので参考にするといいでしょう。
◆ 管理規約の改正例
※以下は、横浜市のホームページにある「マンション管理・再生の手引き」から引用(下線部が標準管理規約からの変更箇所)です。
第21条(敷地及び共用部分等の管理)
1 省略
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
3 専有部分である設備の更新等を行う場合には、その費用を、総会決議を経て、修繕積立金を取り崩す等により管理組合の負担とすることができる。
4 前項の場合において、すでに同様の工事を終え、更新等の工事を実施しない専有部分があるときは、他の区分所有者との公平性の確保のため、管理組合は、該当する区分所有者に対して補償金の支払いやその他の措置をとることができる。
第25条(管理費等)
区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費並びに第21条第3項の経費に充てるために、次の費用(以下、「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 管理費
二 修繕積立金
第28条(修繕積立金)
管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一~五は省略
六 第21条第3項の管理の実施に要する費用
第48条(議決事項)
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一~八は省略
九 第21条第3項に定める管理の実施
(文責/相談室・吉村順一)