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【知っ得シリーズ】

マンション管理に関する判例や行政情報、各種制度、業界動向などを紹介するページです。知っていたから得をした=そんなふうに役立ててもらえればいいな、という意味から「知っ得シリーズ」としました。
 

31.タイル貼り外壁は大丈夫ですか?~タイルの浮き・剥落に備えるには~
30.「よくあるQ&A」【漏水事故への対処方法】
29.【浜管ネットの刊行物】
28.民泊新法の概要
27.個人情報保護法施行~5月30日から守るべき7つのチェックポイント
26.【管理組合も自治会も「個人情報取扱事業者」になります!
    個人情報保護法の対象に~9月までに全面施行】

25.【2016(平成28)年7月29日「マンション標準管理委託契約書」が改正されています】
24.【平成28年9月1日 改正都市再開発法施行される】
23.【小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて】
22.『マンション保険の薀蓄(うんちく)』 第1回 <マンション保険のよくある誤解!>
21.マンションの新たな管理ルールに関する検討会報告書案-国交省
20.建築紛争のADR(裁判外紛争解決手続)によるサポート体制-横浜市
19.国交省-省エネ住宅ポイント制度の復活・再開について
18.マンション建替え円滑化法改正の骨子について
17.屋上等に携帯電話基地局を設置しているマンションへ警鐘
16.書面投票と書面決議 どう違うの?
15.耐震改修促進法改正の骨子について
14.訴訟時の弁護士費用・違約金の取り扱い
13.共用・専有部分一体工事の積立金の取り扱い
12.生活騒音トラブル2(住み方のマナー)
11.生活騒音トラブル1(フローリング床)
10.消費税導入含み、大規模工事に駆け込み
9. 平成25年度すまい・る債募集は5月20日から
8. 名古屋地裁 ベランダ喫煙に賠償命令
7. 「フロントマンの7アクション」
6. 管理費等請求権の消滅時効は5年
5. 非協力区分所有者に59条競売を適用
4. 大震災発生に備えて地震保険に入るべきか?
3. あなたのマンション保険をチェック!
2.「排水管は共用部分?(専有部分の空間に存する配管)」
1.最高裁、不在組合員への「協力金」徴収認める

31.タイル貼り外壁は大丈夫ですか?~タイルの浮き・剥落に備えるには~

このところ外壁のタイルが剥離し、落下したというニュースが目につくようになりました。 みなさまのマンションの外壁は大丈夫でしょうか? タイル貼りの外壁は美観に優れ、人気があります。しかし、タイルは時間の経過によりいつかは「落下」する運命にあると考えておいたほうがよさそうなのです。ではなぜタイルは落下するのでしょうか。
(1)タイル張り工法
外壁タイル貼り工法には、モルタルを使用する湿式工法とモルタルを使用しない乾式工法があります。ここではタイルの浮き・剥落が多いといわれる湿式工法について見ていきます。
湿式工法には、
①改良圧着張り(あらかじめ施行したモルタル下地面に張り付けモルタルを塗り、モルタルが軟らかいうちにタイル面にも同じモルタルを塗ってタイルを張り付ける方法)と、
②密着張り(張付けモルタルを下地面に塗り、軟らかいうちにタイル張り用振動工具を用いてタイルに振動を与え、埋め込むようにタイルを張り付ける方法)があります。もう一つ、
③モザイクタイル張り(紙張りでユニット化されたタイルを下地モルタルがまだ柔らかいうちに張り付ける方法)もあります。
(2)タイルの浮き・剥落の調査方法
タイル面の浮きは目視によって確認できることもありますが、健全な部分とそうでない部分を目視によって見分けるのは難しいため、打診棒を使ってタイル面をたたき、音の違いによって浮きのある部分を特定していく調査方法を採用します(浮きがあるとカラカラと乾いた音がする。)。
(3)浮き・剥落の原因は?
施工上の原因で考えられる浮き・剥落の原因は、
①躯体コンクリートと下地モルタルの界面での剥離、
②下地モルタルと張付けモルタルの界面での剥離、
③張付けモルタルとタイルの界面での剥離が考えられます。
一方、施工外の原因としては、躯体コンクリート、下地モルタル、張付けモルタル及びタイルの温湿度膨張係数が異なることから生じる、それぞれの部位の伸縮の差異が、浮き・剥落の原因となるともいわれています。いずれの原因によるのか、特定するのは難しいといえます。
(4)管理責任を問われないようにするためには調査、補修が必要
タイルの浮きを放置するといずれ剥落に至ります。タイルの落下により通行人をケガさせた(時には死亡)事故が起きた場合、管理組合は「管理責任」を問われることになります。タイルはメンテナンスフリーではなく、劣化現象に対する保守点検が必要な部位です。 建築基準法では、建築物の安全性を確保するために、政令や特定行政庁により定められた建築物について、定期的な点検・調査が義務付けられています(建築基準法12条)。これを特定建築物定期調査といいます。
タイル貼りの外壁を持つ建築物については、手の届く範囲で打診、目視等で調査し、異常が認められた場合には、落下により危害を加えるおそれのある部分に対しては全面的な打診が必要とされています。

(浜管ネット 副会長 吉村)
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30.「よくあるQ&A」【漏水事故への対処方法】

Q)3階に住むX氏のトイレに上階から漏水が発生したと連絡があった。上階の居住者である賃借人Dに連絡したところ、トイレの便座(C社製)から床の隙間に水が垂れ、下階の天井へと生じた漏水であると判明した。Dは建物所有者Aに報告するので待ってほしいとの事。連絡してきたAは6年前にリフォーム工事をした業者Bに確認するので待つようにとのことだった。 漏水は少量だったが、専門業者が来た2週間後には3階のトイレの天井・壁までシミが拡大してしまった。X氏(被害者)は「自分は誰に請求すればいいのか」と管理組合に相談してきた。 A)X氏(被害者)は上階の所有者であるAに賠償請求するのが容易です。理由は以下のとおりです。
1.上階と下階との関係
① 被害者は下階のX氏。
② X氏(被害者)は、上階から漏水しているものの、誰の責任かは分からないので、所有者であるAに対して賠償請求します(民法717条1項の土地工作物責任により占有者の責任を立証できない場合は所有者が責任を負うことが法定されているので、X氏(被害者)は請求が簡易と思われるA(所有者)に請求する。)。
2.上階内部の関係
③ Aは、X氏(被害者)に対して賠償したのちに、占有者Dの使用方法等により漏水したのであればDに対して求償するし、施工ミスであれば施工業者Bに求償するし、製造物責任であればメーカーCに求償する、という関係になります。
3.例外 ・漏水の責任が誰にあるのかが明確な場合は、X氏(被害者)は最初からその人に対して賠償請求することは可能ですし、するのが普通です。 例えば、明らかに占有者Dの使用方法が悪くて漏水したのであれば、X氏(被害者)としても、占有者Dの不法行為を理由に、直接Dに対して請求することが可能です。 ・他方(あまり想定できませんが)、施工業者やメーカーの責任が最初から明らかな場合は、その瑕疵担保責任や債務不履行の責任追及をすべき契約当事者が所有者Aなので、X氏(被害者)としては、まずはAに請求し、Aから施工業者やメーカーに求償するのが一般的です。X氏(被害者)が契約関係のない施工業者BやメーカーCに対して直接的に損害賠償を請求することは、法律的に不可能ではないものの、ハードルが高いといえます。
(浜管ネット 副会長 吉村)
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29.【浜管ネットの刊行物】

浜管ネットでは昨年12月、「わかりやすい大規模修繕工事の進め方」を発刊しました。
初めて大規模修繕工事に取り組む理事さんにもわかるように、ステップ1(準備・体制づくり)からステップ10(工事完成)まで詳しく解説しています。
この「わかりやすい大規模修繕工事の進め方」は田邊邦男会長・技術者部会長(当時)を中心に技術者部会のメンバーが執筆を担当し、浜管通信第7号(2014年11月)から第19号(2018年1月)まで13回にわたって連載してきたものです。 編集部で一部加筆し、発行にこぎつけることができました。 田邊会長はこの小冊子を最後まで見届けることなく、2015年9月、お亡くなりになりました。 修繕委員会などでおおいに活用されることを願っています。
(浜管ネット 副会長 吉村)
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28.民泊新法の概要

1.管理組合と「住宅宿泊事業法」(いわゆる「民泊新法」)の関係 この法律案では、家主居住型と家主不在型の2通りの制度設計がなされていますが、住宅宿泊事業を営もうとする「家主」は、居住型であろうが不在型であろうが、都道府県知事へ届出が必要となります。
          
※特別の理由がない限り、届出があれば許可される仕組みですが、第18条では「都道府県知事は、・・・生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認められる区域があるときは、条例で、・・・住宅宿泊事業の実施を制限することができる」と記されています。 ここでいう都道府県知事とは、保健所を設置する市、又は特別区(以下「保健所設置市等」という。)とあるので、横浜の場合は横浜市となります。(第5章第68条) ※とはいっても、横浜市が条例で民泊を規制するとは現時点では考えにくく(期待しない方がよい)管理組合はもし民泊を禁止したいのであれば、自ら民泊を禁止する方法を考えるほかありません。
●マンション標準管理規約第12条(専有部分の用途)は「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」となっていますが、この規定だけでは「民泊」禁止は微妙です。なぜなら「住宅宿泊事業法」では、まさにこの「住宅」を利用して行う宿泊事業の形態をいっているからです。さらに、「民泊」は専有部分を第三者に賃貸している場合と変わらないではないかという考え方もあります。 ただ、「特区民泊」の場合は、下記のような「通知」が内閣府から出されているので、これに反して「許可」が出ることはないと考えられますが、「民泊新法」下においても、同様の「通知」が出されるか不明です。

【参考】
内閣府地方創生推進事務局(平成28年12月9日付通知) ・「区分所有建物における特区民泊の実施について」 「管理規約が標準管理規約のままであり、『区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。』との規定があるときは、特区民泊はもともと、住宅としての施設利用を前提とした制度であることから、『住宅として使用するもの』にあたらないとの管理組合の解釈が決議されているなど、管理組合の意思が専有部分を特区民泊の用に供することを禁ずるものと認められる場合を除き、特区民泊の対象となります。」

●規約で禁止を定めていれば「住宅宿泊事業法」による宿泊事業の届出は受理されないといえるか、現時点では判断はむずかしいのですが、「規約で禁止している場合には、宿泊事業を制限する」と明言している京都市の例もあるので、管理組合としては、規約で禁止条項を定めて今後の推移を見守るしかないようです。

●民泊の禁止を定める場合、規約にどのように書いたらいいか。(※規約は「標準」に準拠)

≪12条2項に追加する条文案≫
(※住宅宿泊事業法が成立し施行されるのを前提に) 「2 区分所有者は、自らの専有部分を使用し、有料の休憩・宿泊施設(対価を得て、専有部分の全部又は一部を休憩所又は宿泊施設として使用させるもの)として使用すること、及び住宅宿泊事業法に規定する届出を行って住宅宿泊事業を営んではならない。」

※「区分所有者」を「区分所有者等」とすれば賃借人等も含まれますが、規約の遵守義務は賃借人にも及ぶ(5条2項)ので、あえて「区分所有者等」とはしていません。
※違反者には標準管理規約第66条(義務違反者に対する措置)、67条(理事長の勧告及び指示等)で対抗します。 ●「民泊」を禁止する規約の実効性を確保するための「使用細則」案 専有部分の使用に関する基本的事項を規約で定めておき、規約の実効性を確保するために、使用細則で細部を規定します。

≪使用細則≫
条文案
1 理事長は、特定の専有部分につき、規約第12条第2項の規定に反する行為が行われていると疑われるときは、区分所有者等に対しいつでも専有部分の利用状況につき、口頭又は文書で照会することができる。
2 前項の照会の結果、又は他の区分所有者及び専有部分に出入りする者等から任意に聴取した結果、規約第12条第2項に違反していると認められる場合、理事長は、区分所有者等に対し、利用状況を調査するため当該専有部分への立入りを求めることができる。
3 前項の場合において、当該専有部分の区分所有者等は、理事長の求めを正当な理由なく拒んではならない。

●民泊を許容する場合の注意事項 民泊を許容しようとする管理組合の場合には、旅館業法に違反するいわゆる「ヤミ民泊」を許容するわけではないこと、あくまでも新法による民泊しか認めないと明記すべきです。 2.民泊新法-住宅宿泊事業法の概要 この法律では、「住宅宿泊事業を営む者」「住宅宿泊管理業を営む者」「住宅宿泊仲介業を営む者」の3者に対する登録制度について規定しています。 ここでいう「住宅」とは、「現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるもの」と定義されます。
●「住宅宿泊事業」とは、「旅館業法に規定する営業者以外の者が、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」と規定。(第2章) 「住宅宿泊事業を営む者」に関する規定では、「都道府県知事に届出をした者は、旅館業法第3条第1項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができる。」となっていて、旅館業法では許可されない住居専用地域での営業が可能となります。
●「住宅宿泊管理業」とは、「住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業」と規定。(第3章)
●「住宅宿泊仲介業」とは、「宿泊者のため、届出住宅における宿泊サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、取次ぐ行為・・・又は媒介する行為」と規定され(第4章)、旅行業法に規定する旅行業者以外の者が、報酬を得て、行うことをいいます。 【参考】 ※旅館業法第3条第1項  「旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。第四項を除き、以下同じ。)の許可を受けなければならない。」  ※横浜市のパンフレット「民泊サービス」の提供を始めようと考えている方へ」では、「民泊サービスは、旅館業法における簡易宿所営業に当たります。旅館業法等に定められた基準を満たす施設でのみ営業が認められ、サービスの提供者は、提供開始前に旅館業の営業許可を得る必要があります。」となっていて、現時点では、民泊営業は厳しい許可条件をクリアしなければなりません。(担当は区の福祉保健センター生活衛生課環境衛生係)
(浜管ネット 副会長 吉村)
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27.個人情報保護法施行~5月30日から守るべき7つのチェックポイント

すでにお知らせしました個人情報保護法が、5月30日から前倒し施行されることになりました。この施行により、その性格上すべての管理組合が「個人情報取扱事業者」となります。この法律による制限を受け、安全管理措置の実施義務等が発生します。この施行による管理組合の対応については、横浜市市民情報課は、各団体へ対応方法に関する情報提供を行うとともに、「個人情報相談窓口」を設けて相談を受けています。(☎045-671-4321)
マンション管理組合(※法の対象となる団体)が守るべき7つのチェックポイントは次のとおりです。
(★印の付いたルールは、パソコン等でデータベース化された個人情報を扱うときのルールです。)
1≪個人情報を取得するときは、何に使うか目的を決めて、本人に伝えること。(第18条)≫
●使う目的(例:名簿を作成し組合員に配布するため)は、本人に伝えるか、あらかじめウェブページや掲示などで公表する必要があります。
●ただし、個人情報を取得する状況において利用目的が明らかであれば、逐一相手に伝える必要はありません。(例:名刺交換を行う場合、その利用目的が今後の連絡のために利用することは明らか)
2≪個人情報は決めた目的以外のことには使わない こと。(第16条)≫
●例えば、名簿を作成するために取得した個人情報を、サークル等の勧誘のために利用することはできません。
●決めた目的以外のことに利用したい場合は、あらかじめ本人の同意を得てください。
3≪個人情報を第三者に渡す際は、本人の同意を得ること。★(第23条)≫
●ただし、以下の場合等は本人の同意を得なくても、個人情報を第三者に渡すことができます。 →法令に基づく場合(例:警察からの照会) →人命にかかわる場合で本人から同意を得るのが困難なとき(例:災害時) →業務を委託する場合(例:管理費等徴収のために管理会社に区分所有者の名簿を渡す場合)
4≪個人情報のうち要配慮個人情報については、特別のルールを守ること。(第2、17、23条)≫
●要配慮個人情報とは、人種、信条、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、障害、健康診断・検査の結果、医師等からの指導・診療・調剤が行われたこと、刑事事件・少年の保護事件に関する情報等のことです。
●これらの情報を「取得」するときは、あらかじめ本人の同意を得なければなりません※。ただし、「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難なとき」などは、例外として本人の同意がなくても取得できます。なお、法改正施行前に取得した情報は改めて同意を得る必要はありません。 ※一般の個人情報は、利用目的を公表又は本人に通知すること等で取得が可能です。
5≪本人からの「個人情報の開示や訂正等の請求」には応じること。★(第27~33条)≫
●請求等があったときは応じなければなりません。ただし、又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合などは、開示しないことができます。
6≪取得した個人情報は安全に管理すること。★(第20条)≫
●安全管理措置の例 →個人情報の取得・利用等の基本的な取扱いを決めたルールを作る
→秘密保持のルールを作り、名簿を取り扱う人に研修を行う→許可されている人だけが個人情報を閲覧・利用できるよう  にする
→漏えいは紛失を防ぐため、紙の名簿はカギのかかる引出等で保管する
→パソコン上の名簿はパスワードを設定する →インターネットに接続されたパソコンで個人情報を扱うときは、ウィルス対策ソフトを入れる
→漏えいや紛失した時にだれに報告するかあらかじめ決めておく
7≪苦情の申出に対応すること。(第35条)≫
●苦情の申出先をわかるようにするなど必要な体制を整備し、適切かつ迅速に対応するように努めます。
(浜管ネット 副会長 吉村)
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26.【管理組合も自治会も「個人情報取扱事業者」になります!
           個人情報保護法の対象に~9月までに全面施行】

昨年の個人情報保護法改正により、第2条3項5号(取扱量の少ない事業者を適用除外としていた規定、いわゆる「5,000件要件))が廃止されましたので、管理組合も同法の規制に服することになります。
●「個人情報取扱事業者」とは 個人情報をデータベース化して事業活動に利用しているものを「個人情報取扱事業者」といいます。「組合員名簿」や「居住者名簿」「要援護者名簿」等を利用している管理組合、自治会などが「個人情報取扱事業者」となり、同法適用の対象になります。 「個人情報取扱事業者」は、名簿の個人データの漏えい、滅失または毀損の防止その他の個人データの安全管理について必要な措置を講じなくてはならない義務を負います。
●安全管理措置等について 同法を所管する個人情報保護委員会は、自治会・同窓会向けに「個人情報を集める、保管するときのルール」と題したステップ①~③を例示しています。ステップ①は個人情報を取得するときの「利用目的の特定」。ステップ②は個人から情報を取得するときには、本人に対して利用目的を明示すること。ステップ③は取得した個人情報は安全に管理することです。 個人情報をパソコンで管理する場合はパスワードを設定する、ウィルス対策ソフトを入れるなどです。紙媒体の場合は、盗難、紛失等がないよう施錠できるところに保管するなどです。
●第三者への情報提供 マンション標準管理規約第64条では「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる」と定めています。「組合員名簿作成・運用・保管細則」では、「利用の目的」「名簿に掲載する事項」「名簿の作成」「名簿の管理」などの詳細を規定することになります。 管理会社に組合員名簿を提供している場合は、あらかじめ組合員に、管理会社に名簿を提供することを知らせておくとともに、管理会社の個人情報保護体制などを確認しておく必要があります。
●被災時等の緊急時の取扱いについて 個人情報保護法では、人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難なときには、個人情報の第三者提供を許しています。とくに大災害などの被災時にはこのようなケースが考えられます。平時から名簿の作成などの準備が求められていますが、「利用の目的」「名簿に掲載する事項」などを明確にし、被災時に有効に機能する名簿にしていくことが必要です。
(浜管ネット 副会長 吉村)
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25.【2016(平成28)年7月29日「マンション標準管理委託契約書」が改正されています】

≪~ 管理状況の開示対象項目を拡充 住宅ストックの流通促進が目的 ~≫

本年3月に改正されたマンション標準管理規約の「管理状況などの情報開示」を反映した形で、「マンション標準管理委託契約書」が改正されました。
マンションの管理委託に関する指針として活用されてきた「マンション標準管理委託契約書」ですが、今回改正の背景には「適切に管理された優良な住宅ストックが、市場において正当に評価され、流通していくことが重要」との国の住宅政策上の方針があります。
マンションストックは現在623万戸といわれていますが、少子高齢化など今後、人口減少が予測されるにもかかわらず、マンションストックは増える一方です。その結果として「空き住戸」が増え、管理不全のマンションが巷にあふれる状況が懸念されているからだと思われます。
売主責任が「情報開示法」や「州民事法」などで規定されているアメリカでは、管理組合の業務として修繕履歴の蓄積や開示が当たり前に行われているといいます。 日本でも中古住宅の流通が安心して行われる仕組み作りが、喫緊の課題になっているといえます。
管理組合も居住者の高齢化をいうだけではなく「世代循環型」の管理を目指して管理情報の開示を積極的に行なっていくべきだと考えます。 改正案の主な項目は次のようなものです。
①開示対象情報の充実
役員の選任方法、専有部分の使用制限(ペット等)、駐車場の空き状況、共用部分の損害保険、共用部分における事故・事件等の情報が開示対象として追加されています。
②開示の相手方の拡大
宅建業者だけでなく、組合員である売却予定者にも開示できるように改正されています。
③開示方法の充実
電磁的方法による開示を可能にし、交付の相手方にはその費用を負担させることもできます。
④その他コメントの充実
共用部分等における事故・事件の開示やプライバシー情報が含まれている場合の対応などについて留意する旨のコメントが追加されています。
 
詳細は国交省ホームページで見ることができます。 http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000135.html
(浜管ネット 副会長 吉村)
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24.【平成28年9月1日 改正都市再開発法施行される】

≪区分所有法による建替え≫と≪市街地再開発事業による建替えについて≫

これまでの都市再開発法では、共有者全員をまとめて1人の組合員とみなすという規定になっており(都市再開発法第20条)、この議決権の行使には共有者全員の同意が必要と考えられていました。 結果として、住宅団地のような1筆の土地のみで行われる市街地再開発事業の場合、地権者の3分の2以上の同意ではなく、地権者全員の同意が必要なことから事業の推進が困難という課題がありました。 今回の改正により、住宅団地においても、それぞれの共有者は別々の組合員とみなされ、3分の2以上の合意で建替えが可能となります。 区分所有法による建替えは、民事上の合意に基づくものである一方、市街地再開発事業による建替えは、地方公共団体が都市計画決定を行うことや高度利用地区内にあることを前提にした「公的性格」をもつ事業ということができます。また、地域内の建築物の3分の2以上が老朽化等の要件を満たしている必要があります。(下図を参照)
 
≪区分所有法による建替え≫
 
≪市街地再開発事業による建替え≫
 
 
(浜管ネット 副会長 吉村)
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23.【小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて】

国交省は、「小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて」と題して、各都道府県建築行政主務部長あてに技術的助言を行いました(平成27年2月27日国住指第4544号)。
その内容は「土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む)のうち、外部から荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、建築基準法第2条第1項に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物に該当しないものとする。したがって建築確認等の手続きについても不要である。」というものです。
《奥行きが1m以下、かつ、高さが2.3m以下で、床面積が2㎡以内は建築確認不要》
横浜市は、平成28年1月5日、標記取扱いに関する国交省の技術的助言に基づき、「小規模」の取扱いや小規模な倉庫を設置する際の配慮事項等を定めて公表しています。 それによると「小規模」とは、「奥行きが1m以下、かつ、高さが2.3m以下で、床面積が2㎡以内」のものをいいます。 さらに、小規模な倉庫を設置する際の配慮事項として次の4項目を挙げています。
①建築基準法第42条に規定する道路内への設置を避けること。
②市街地調整区域内の建築物の建築が認められない一段の土地において複数の設置を避けること
③倉庫(建築物)に関する建築基準法第48条の制限に適合しない用途地域での設置を避けること。
④危険物の収納を避けること。
※高さが1.4m以下の倉庫であっても、奥行き又は床面積が上記の数値を超える場合には建築基準法上の建築物として取り扱うのでご注意ください。
《防火・準防火地域内でも、建築確認不要》
もともと防火地域及び準防火地域外で、かつ、床面積の合計が10㎡以内の増改築については建築確認不要ということでしたが、防火・準防火地域内にあるものについては、10㎡以下でも建築確認等の手続きが必要とされてきました。
災害に強い街づくりの推進が求められている中、小規模な物置等を防災倉庫として利用する際に、防火・準防火地域の内外にかかわらず、上記基準内のものであれば、建築確認等の手続きを不要としたものです。
【解説/「建築物とは」】 建築基準法上の建築物とは、「土地に定着する、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」をいいます。(建築基準法第2条第1号) 倉庫等は建築物として取り扱われてきましたが、建築物の建築には「建築申請及び確認」が必要とされています。ただし、建築基準法第6条第2項で「前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築、又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、適用しない。」と定めています。 
(浜管ネット 副会長 吉村)
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22.『マンション保険の薀蓄(うんちく)』 第1回<マンション保険のよくある誤解!>

<マンション保険、いろいろ>
管理組合が契約する①『マンション総合保険』区分所有者が契約する②『火災保険』賃借人が契約する③『火災保険』、この3つの違いを明確に説明できますか?

まず、ですが、この保険は、管理組合が所有する資産、つまり共用部分に生じた損害を対象としています。
は、専有部分の建物もしくは家財を対象にしているので、明らかに対象が異なります。よく、「保険は管理組合が入ってくれているから自分は入らなくてよい」とおっしゃる方がいますが、それは違うのです。
は、賃借人につき、建物は所有していないため、自分が持ち込んだ家財に対する補償を基本にし、「借家人賠償」という建物オーナー(貸主)に対する賠償目的の特約を付けるのが一般的です。

<ケーススタディ>
では、事例を用いて説明しましょう。 賃借人Aさんが、自室のトイレを誤って壊してしまい、トイレ室床と隣接した廊下のフローリングに損害を与えました。更に、その水は流れ、下の階に住んでいる区分所有者Bさん宅の天井ボードとクロスに損害を与えました。 この場合、保険はどのように使われるでしょうか? まず、壊してしまったトイレと、トイレ室床、廊下フローリングの修理は、に含まれる「借家人賠償」を使います。これは大家さんに対する賠償なので当然といえば当然です。ところが、「借家人賠償」は、あくまで大家さんから借りて自ら使用・管理をしている部分に対する損害に対する補償に限定されていますので、区分所有者Bさんへの弁償には使えません。下の階への弁償は、日常生活に起因する賠償ということで、対象となる保険は、「個人賠償保険」という種類になります。この「個人賠償保険」に賃借人が加入しているか、「マンション総合保険」に特約として付帯されているか、いずれかの場合に下の階の補修は保険を使えることになります。逆に、貸主である区分所有者のみが「個人賠償保険」に加入していても、貸主は“加害者”ではないため、その保険は使えないということになります。

<管理組合の保険で専有部の修理をするのは・・>
冒頭に、『マンション総合保険』は共用部分しか対象としていないと書きましたが、専有部に立ち入ることがあるのは、特約を追加することによりこのような賠償関係が成り立つ場合です。事例のような、賃借人や区分所有者が“加害者”となった場合は「個人賠償責任特約」により補償されます。漏水の原因箇所が共用管だった場合など管理組合が“加害者”となった場合は、「施設賠償責任担保特約」を使って、被害者救済を行なうことになります。

<賠償の際によくあるトラブル>
漏水賠償が建物修復のみの場合は、新価といって、原状回復に要する金額が妥当な範囲で認められますが、家財の被害に対する補償の場合はトラブルとなるケースが散見されます。それは、家財の場合、時価評価による賠償となるからで、例えば5年使ったものだから購入価格の半額など、いわゆる減価償却後の金額で賠償額が査定されます。その金額では、買い直せないではないかという被害者の怒りを買うことになるのです。

<専有部の保険は大事!>
そこで、有効なのが、の専有部分の保険のうち、家財を対象とした火災保険です。 個々人で加入する火災保険は、現在は、ほぼ新価で評価する商品になっていますので、賠償保険の査定で減額された場合、自分の火災保険も請求すれば、重複しては支払われないものの、減価償却された部分は、自分の火災保険から補填されます。更に、その保険に、「臨時費用」といわれる特約があれば、保険会社によって異なるものの、被害総額に対し10%~30%程度のお見舞金が支払われます。

<ケーススタディの振り返り>
ケーススタディの事例で、使われる保険を整理してみると・・
◎Aさん契約の借家人賠償保険(特約)
◎管理組合またはAさん契約の個人賠償保険
◎Bさん契約の火災保険(建物の臨時費用)
◎Bさん契約の火災保険(家財の差額)
◎Bさん契約の火災保険(家財の臨時費用)
このように、1事故にもかかわらず、複数の保険を駆使して請求することで万全な備えとなります。 マンションは、専有部分と共用部分が入り組んで接しており、様々な保険金請求パターンがあり複雑です。保険代理店は星の数ほどありますが、マンション保険に精通した代理店は全国的にも数えるほどしかありません。そのような専門家を味方につけることが、管理組合にとっても、それぞれの居住者にとっても重要な要素だと思われます。

<補償の過不足が目立ちます!>
現在契約中の保険を診断させていただくと、建物と家財、両方入っているつもりでも、片方にしか入っていないという誤解がよくあります。地震保険も建物を対象にしたものと、家財を対象としたものと扱いは別です。 住宅ローンの返済が終わると同時に火災保険も終了しているにもかかわらず、更新手続きをしていないケースや、当初のローン金額のまま火災保険金額にしている補償過大(=保険料(掛金)の過払い)の方も、よく見受けられます。

<火災保険 いつ考える?>
管理組合が契約する『マンション総合保険』は、近年、商品改定の度に大幅な値上げとなっています。ところが、2015年10月1日に実施が決まっている火災保険の全面改定は、『マンション総合保険』のみならず、戸建て住宅や、ビル、工場、マンション専有部、そして、その中にある家財や什器・備品を対象としたものに至るまで、あらゆる物件が対象となります。 全国平均では3.5%という基準が公表されていますが、地域差があり、首都圏のマンション構造では10%超の値上がりが予想されています。 また、従来は可能であった10年超の長期契約ができなくなります(管理組合の契約は現時点で既に5年が最長です)。超長期契約ならではの割引が使えなくなり、契約者負担増は必至です。 裏返せば、9月末までであれば、値上がり前の保険料で、長期契約が可能ということで、火災保険を考え、見直しをするのであれば、まさに“今でしょっ!”というところでしょうか。

<まずは、シミュレーションを!>
9月までに契約する場合と10月以降に契約する場合とで、どの程度差があるのか、シミュレーションしてみましょう。中途解約してでも切替するメリットすらあるかもしれません。この激変期を、見直しの好機と捉えてみてはいかがでしょうか。
マンション保険バスターズ  CEO 西澤健之 (浜管ネット/団体賛助会員)
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21.マンションの新たな管理ルールに関する検討会報告書案について

3月27日、国交省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」において最終報告書案が了承された。
この検討会は、2012年(平成24年)1月10日に第1回が開かれ、同年8月9日に第9回が開かれて以降しばらく開かれずにいたが、今年2月に再開されていた。
マンション標準管理規約からコミュニティ条項を削除する(標準管理規約第32条十五号)とした議論で話題となり、日本マンション学会、全管連(全国マンション管理組合連合会)等の団体からは反対意見が表明されていた。
報告書案によると、新しい考え方として階数や方角等の価値を反映した議決権割合を選択肢に加えている。これまで議決権割合については、「規約に別段の定めがない限り、第14条に定める割合」と区分所有法では規定しているが、現に専有部分の床面積の割合か、または1住戸1議決権としている管理組合が多い。
新たに導入される財産価値による割合という考え方には違和感を覚えざるを得ないが、国としては管理組合を財産管理的な団体として位置付けたいという意向のようだ。
コミュニティ条項(標準管理規約第32条十五号)はやはり削除される方向だ。
論点の中心をなすのは管理組合と自治会の関係の整理であるが、現実には自治会を持たない多くの管理組合が、必要に迫られてコミュニティ活動を熱心にやっている事実に目を背けているように思える。
その他、この報告書によると、災害時の応急工事の実施や専有部分等への立入り等が理事会決議で可能になること、また、小規模マンションや超高齢化したマンション管理組合の機能不全に対処するため、外部専門家の活用を想定して適格性の担保や利益相伴取引の禁止等のガイドラインを設けるとしている。
この報告書で取り上げられている14の「論点」については、下記アドレスで詳細を見ることができる。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000013.html

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20.建築紛争のADR(裁判外紛争解決手続)によるサポート体制-横浜市

横浜市は、新たに建築される予定のマンション等の建築計画の説明を受けて、疑問や不安に思った市民に対し、建築局中高層調整課で相談を受け付けている。
相談内容によっては、建築計画に関する要望を建築主に伝え、必要な対応を促すなどの措置を行っている。
建築計画の概要を知って相談に来る市民に対しては、日照、眺望、交通安全、景観調和など主なものについて、一般的な考え方を説明し最も適切な対応策などのアドバイスをする。
例えば、建築主や代理人と円滑な話し合いが行われるよう調整する。万一、話し合いによる解決がなされないときは、あっせん・調停などの申し立ての手続きへ移る。調停委員は弁護士、学識経験者等が務め、双方の意見を聴取して調停案を受け入れるよう提示する。
相談内容が、敷地境界に関するものや損害補償金額の多寡に係る問題など、行政の紛争調整になじまない事項の時は、法律相談、弁護士相談、ADR(裁判外紛争解決手続き)等の他の紛争調整、解決制度を案内している。
横浜市は2009年(平成21年)7月から横浜弁護士会と協定を締結し、建築紛争に関する連携を始めている。
ADRの特徴については以下のように説明されている。
裁判に比べて安価、迅速かつ柔軟な対応が可能。行政の調停では立入れない「金銭補償」等につても、横浜弁護士会の紛争解決センターで調整を図ることができる。
因みに、横浜弁護士会紛争解決センターはADR促進法に基づく紛争解決事業者として、法務大臣の認証を受けている。
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19.国交省-省エネ住宅ポイント制度の復活・再開について

国の省エネ住宅ポイント制度が復活・再開されています。
ポイントの発行対象は、省エネ性能を満たすエコ住宅の新築と対象工事を実施するエコリフォーム及び省エネ性能を満たす完成済の新築住宅の購入です。
エコリフォームの場合、所有者が施行者に工事を発注(工事請負契約)して実施するリフォームを対象としています。(※下図を参照)
 
省エネ住宅ポイント(エコリフォームの場合)
対象住宅の
性能要件等
平成26年12月27日以降に契約した工事
(着工は契約締結日~H28年3月31日まで)
対象期間 (1)窓の断熱改修
(2)外壁、屋根・天井、床の断熱改修(部分断熱可)
(3)設備エコ改修(エコ住宅設備3種類以上)
上記(1)~(3)のいずれかとあわせて行う以下の工事等
[1]バリアフリー改修(手すり設置、段差解消等)
[2]エコ住宅設備の設置
(太陽熱利用システム、高断熱浴槽、節水型トイレ、高効率給湯器、節湯水栓)
[3]リフォーム瑕疵保険への加入
[4]耐震改修
※製品は登録されたものが対象となる
ポイント 最大30万ポイント(耐震改修実施の場合最大45万ポイント)
(工事内容に応じて3千~12万ポイント)
※追加的に行われるリフォーム工事費用にも充当できる
交換商品 地域産品、商品券等

※詳細は下記に問合せしてください。
【省エネ住宅ポイント事務局 ホームページ】   http://shoenejutaku-points.jp/
【省エネ住宅ポイント事務局 コールセンター】 TEL:0570-053-666 ナビダイヤル
   IP電話等からのご利用 03-4334-9381 ※通話料がかかります。
   受付時間 9:00~17:00(土・日・祝日含む)
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18.マンション建替え円滑化法改正の骨子について

2014年(平成26年) 12月24目、改正マンション建替え円滑化法が施行されます。耐震性の不足しているマンションに適用されます。概要は以下のようなものです。
1.敷地売却
耐震性が不足しているとして認定を受けたマンションでは、5分の4以上の多数で、マンションおよび敷地を売却する旨の決議を行い、マンション敷地売却を行うことができます。
2.容積率等の緩和
耐震性が不足しているとして認定を受けたマンションで建替えを行う場合、特定行政庁の許可を受ければ、新たに建築されるマンションの容積率等が緩和されます。
3.その他
敷地売却制度が創設された一方で、現行第5章「危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置」の規定が削除されています。法の趣旨が「建替え」より「敷地売却」へ重心を移しているように思われます。その他、借家権や担保権の扱い等が規定され、平成26年度税制改正では転出者の譲渡所得等について特例措置が設けられています。
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17.屋上等に携帯電話基地局を設置しているマンションへ警鐘

国税庁は、マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定について、管理組合の申告漏れが相次いでいることにホームページ上で警鐘を鳴らし始めています。
基地局の設置場所を貸し付けて収益を上げる行為は、法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当します。
基地局を貸し付けているマンション管理組合は、税金を払う必要があるというものです。
(詳しくはこちら) マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定
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16.書面投票と書面決議 どう違うの?

1.区分所有法45条1項は「この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる」 と規定しています。
これは区分所有者全員の承諾があるときは、集会を開くことなく書面又は電磁的方法で決議することができるというものです。これを書面決議といいます。
この決議は、集会を開いて決議があった場合と同一の効力を有します(第3項)。
この決議を行うには、集会を開くことなく決議ができるとした重大な例外を認めるものですから、討議を省略することによる不利益が生じないように区分所有者全員の承諾が必要とされています。
2.一方、総会開催案内とともに委任状又は議決権行使書が添えられていますが、総会を欠席する場合に、前もって議決権行使書による賛否の表明をすることを書面投票と呼ぶことがあります。「議決権は、書面で、又は代理人によって行使することができる」(法39条2項)と規定されており、議決権行使書が「書面」に当たります。
標準管理規約46条4項にも同様の規定があり、47条5項で「書面文は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。」ことができます。
よく1.の「書面決議」と混同されますが、まったく異なる意味で使われています。
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15.耐震改修促進法改正の骨子について

2013年(平成25年)11月25日、耐震改修促進法が改正されています。骨子は次のようなものです。
1.努力義務
1981年以前に建築された建物(旧耐震建築物でマンションを含む)の所有者は「耐震診断を行い、耐震強度が不足していると判断された場合は、耐震改修を行うよう努めなければならない」 (16条1項)。
2.安全性認定制度
マンションを含む建物の所有者は、所管行政庁に対し「地震に対する安全性の基準を満たしている旨の認定を申請することができる」(22条1項)。不動産取引が安心して行われることが期待されています。
3.酎震改修必要性認定制度
耐震強度が不足していると判定されたマンションの管理者等は「所管行政庁に対し耐震改修を行う必要がある旨の認定を申請することができる」(25条1項) 。認定を受けた場合には、容積率や建ぺい率等の緩和処置等を含む、所管行政庁による指導・助言・指示等がなされます(27条)。
4.決議要件の緩和
認定を受けたマンションについては、例え耐震改修が「共用部分の変更」 に該当する場合であっても、特別多数決議(4分の3以上の多数) を必要とせず過半数決議でこれが可能となります(25条3項)。ただし、区分所有法17条2項「共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない」の適用はあるので決議においては注意が必要です。決議がなされた場合には行政による補助金が予定されます。
※ 横浜市の耐震診断・耐震改修補助事業の案内は下記URLを参照してください。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kenbou/bousai/bousai/mantai/sindan/
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14.訴訟時の弁護士費用・違約金の取り扱い

<トラブル事例>
未払管理費等を回収したが、遅延損害金(8,0609円)及び弁護士費用(26,250円)等の支払いを認めた事案
<判決例>
平成20年3月25日 東京簡裁
<判決要旨>
〇管理組合規約には区分所有者等が管理費等を納付しない場合、未払管理費等に加えて、年14.6%以内の約定の遅延損害金及び違約金としての弁護士費用を請求することができると記載されている。
〇弁護士に依頼をすれば相応の弁護士費用がかかることになり,その費用を違約金として規約に定めること自体は合理性があり,区分所有法の趣旨に反するものではない
<検証>
これまでの裁判例では、管理組合側が勝訴していても弁護士費用等に関して否認されることが多かった。現在では、管理規約に定めがあれば、弁護士費用の請求は肯定されるという流れは定着している。
管理規約に基づく債務であることを確定していれば、当該区分所有者に請求できる。規約に規定していない管理組合は規約の整備・改正をする必要があるだろう。
また訴訟に関わる「督促及び徴収の諸費用」の具体例である印紙代、郵券代(郵便切手)まで記載すべきである。
『かながわマンションネットワーク通信』第4号(2008年2月発行)5pに関連記事を掲載

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13.共用・専有部分一体工事の積立金の取り扱い

<床下コンクリートスラブの判決例>
平成12年3月21日 最高裁
<判決要旨>
排水管の横引管が床下コンクリートスラブを通過し、階下の専有部分(天井裏)に配管されている構造(いわゆるスラブ下配管)のマンションで、当該排水管は「専有部分に属しない建物の付属物」であり、区分所有者全員の共用部分に当たるとした
<スラブ下配管以外での専有部分等の配管工事について>
◎給・排水・給湯設備、共用・専有部分の同時施工
メリット
・住戸内の配管形成・状態が統一できる(漏水事故の心配がなくなる)
・住戸内への立ち入りが一度で終わり、住民の工事への精神的負担が減る
・一括工事のため、費用面でのスケールメリットがある
デメリット
・ユニットバス、システムキッチンなど、すでにリフォームをした住戸などもあり、合意形成が難しい
・住戸内の床や壁などをはがす作業が出る
・共用部分+専有部分ということで総工事費が高額になる
<検証>
◎そもそも専有部分の配管工事について積立金を使って管理組合主導で施工できるのか?
・マンション標準管理規約は第28条(修繕積立金)で…専有部分の改修工事に対して修繕積立金の取り崩しを認めていない。
◎事例では総会での採決で実行されている…
・共用・専有部分一体工事について、これまでの事例では、総会は普通決議(過半数)で通し、なおかつ全戸に入る工事なので、全戸住民と打ち合わせを行うことにより、外部所有者も含め全戸から承諾を得たとしているケースがあるようだ。全戸と工事の打ち合わせを行い、工事内容の了解を得ることで総会の普通決議よりも固い、自然と全員合意という形を作ってしまっている。
・管理規約を改正する場合には、総会で特別決議(3/4以上)が必要。
●弁護士の話
管理組合で共用・専有部分一体工事を決めたマンションで、特定の人がこのグレーゾーンをついて反対している事案を現在担当している。反対者は単に自分の意見が受け入れられないことが不満であり、工事の手法そのものが問題ではない。しかし、こうした反対者が現状の法律等を根拠として反論しているのだ。管理組合では、事前に管理規約に専有部分の配管についての記述を盛り込むことで、こうしたトラブルをなくすことができたのではないか、と考える。
●設備専門の設計コンサルタントの話
共用、専有部分の引き合いがどうなっているのかという法律的な問題はあると思うが、専有部分の配管改修を行わない住戸は強制的にでもやらないと、ずっと行わない。つまり、漏水事故の危険はずっとあり、事故が起こって困るのは当事者と階下の住民ということになってしまう。劣化の進行は法律で止まるものでない。配管の維持管理をしなければ漏水事故は起こる。問題は、各住戸に任せるだけで専有配管の維持管理ができるのか、ということである。

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12.生活騒音トラブル2(住み方のマナー)

◎住み方のマナーによる生活騒音
<トラブル事例>
引っ越してきた賃借人の子供(3~4歳)の走り回る音が受忍限度を超えるとして階下住民が訴えた事案
<判決例>
平成19年10月3日 東京地裁
<判決要旨>
○子供が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりする音は、かなり大きく聞こえるレベルである50~60dB程度のものが多く、深夜にも及んだ
○被告が幼児をしつけるなど住まい方を工夫し、階下住民である原告に対し、誠意ある対応を行うことは当然である
○被告は、床にマットを敷いたものの、その効果は明らかではなく、原告に対して乱暴な口調で突っぱねるなど、その対応は極めて不誠実なものであった
○原告は、最後の手段である訴訟等に備えて騒音計を購入し、精神的にも悩み、原告の妻は、咽喉頭異常感、不眠等の症状も生じた
★以上の点から、裁判所は被告の住まい方や対応の不誠実さを考慮し、子供が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりする音は、一般社会生活上、原告が受忍すべき限度を超えるものと判断。被告に36万円(慰謝料30万円、弁護士費用6万円)の支払いを命じた。
※『かながわマンションネットワーク通信』第3号(2007年11月発行に掲載)
<検証>
被害を訴えた住民が勝訴したケースでは、騒音計を入手してデシベル数を計る、管理組合を通して全戸に生活騒音に関する書面を配布する、調停を申し立てたが相手に拒否された…など、トラブル解決への努力を最大限行っても訴訟しなければ解決しそうもない状態にあったことが勝訴の大きな要因になったようだ。

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11.生活騒音トラブル1(フローリング床)

規約・細則等で定める必要がある。それに違反している場合のトラブルは遮音等級への原状回復を求めることができる。
◎フローリング騒音
<トラブル事例>
絨毯張りの床をフローリング床に張り替えたため、上階の生活音が段階的に階下の室内に響くようになった。階下住民は慰謝料と差し止め請求として原状回復工事を求めた。
<判決例>
平成8年7月30日 東京地裁八王子支判
<判決要旨>
地裁判断では慰謝料請求のみ認め、差し止め請求を否定した。
① 不法行為を構成するか否か
管理規約に違反する形でフローリングに変更したことなどから、社会生活上の受忍限度を超える違法なものであると判断した。慰謝料75万円。
② 差し止め請求が認められるほどの違法性を有するか否か
差し止めによる原状回復については相応の費用と損害をもたらすことから差し止め請求を是認するほどの違法性はないと判断した。
<検証>
上階の生活騒音が不法行為となるか否かは、受忍限度を超えるかどうかの判断になる。
騒音に対する受け止め方が各人の感受性に左右されるものであり、階上、階下の住民の努力やコミュニケーション関係で解決につながることもある。
実は、騒音トラブルが深刻な訴訟に発展した場合、裁判所の判断はこれまで、受忍限度は各人の受け止め方であることを理由に「和解」を前提に原告の請求を退けるケースが多かった。

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10.消費税導入含み、大規模工事に駆け込み

消費税を2014年4月から8%、2015年10月から10%に引き上げる「社会保障と税の一体改革関連法」が公布された。これによって大規模修繕の駆け込み実施を考える管理組合が急増し、大規模修繕工事は今秋から来春にかけてピークを迎えるという。

問題は職人・資材不足と単価の値上がり。そして現場監督(現場代理人)が足りなくなること。建設業法によれば、管理組合に対して4,500万円以上の建築工事業を元請けで契約し、さらに下請け会社と契約を締結して施工する元請け会社は、現場技術者として「監理技術者」を設置しなければならない。「自社の体力以上の契約をする会社もあるのではないか」。
良い工事を行うには良い現場代理人、良い職人に施工してほしいが、工事が集中すれば品質が落ちることも否めない。

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9.平成25年度すまい・る債募集は5月20日から

<住宅金融支援機構は4月8日、2013年度マンションすまい・る債の募集要項を発表した。今年度の募集期間は5月20日から10月20日まで。
これまで8月下旬から募集だったが昨年6月20日に、今年はさらに募集開始を1カ月早くし、期間を5カ月間とした。
「マンションすまい・る債」はマンション管理組合が、住宅金融支援機構が発行する債券を定期的(年1回。最高10年間)に購入することで、修繕積立金の計画的な積み立てと適切な管理をサポートするもの。10年満期時の年平均利率(税引前)は0.266%。
管理組合の資産運用または保全に最適な商品として、検討の余地は大いにありそうだ。
問い合わせ・資料請求先
住宅金融支援機構お客様コールセンター住宅債券専用ダイヤル
ナビダイヤル 0570-0860-23〈平成25年5月末まで〉
フリーダイヤル 0120-0860-23〈平成26年6月以降〉

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8.名古屋地裁 ベランダ喫煙に賠償命令

マンションのベランダからの受動喫煙は不法行為であるとして、階下の住民を相手に150万円の損害賠償を求める訴訟を起こしていた件で名古屋地裁(堀内照美裁判官)は12月13日、階上住民の精神的損害を認めて5万円の支払いを命じた。判決は確定している。 被告側は「マンションの規則でベランダでの喫煙は禁じられていない」などの理由で「違法性はない」と反論したが、裁判所は「他の居住者に著しい不利益を与えながら、防止策をとらないことは不法行為に当たる」と認めた。 今回の問題は、何度も苦情を受けたのに喫煙を続けたことにあるようだ。マンションは共同住宅なのだから、お互いの気づかいが必要である。
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7.「フロントマンの7アクション」

(社)高層住宅管理業協会の新理事長・山根弘美氏(㈱ダイワサービス社長)を迎えて7月24日、横浜駅西口のかながわ県民センターで講演会を行いました。そのときの講演内容のテーマの中から「フロントマンの7アクション」の一部を抜粋しました。
◇山根氏の講演
マンションは所有者団体であるか、入居者団体であるか―私は運命共同体である団体だと思っています。
それを気づかせることが本当の意味でのマンションのコミュニティーです。
健全なコミュニティーの育成とは何かと聞かれたら、私は運命共同体の意識があるマンションだと、自分ではそう思っています。
では、運命共同体とは何か。
お互いが認め合うことができるものです。相手が必要ではないと思ったとたんに運命共同体ではなくなるということです。
特に防災を切り口にすると、隣の人も上階の人も必要な運命共同体なんだなということを、私たちの仕事はそれをどうやって気づいていただけるか―気づきの仕掛けを、ファシリテイト(中立な立場を保ちながら合意形成や相互理解に向けて調整すること)する力をどれだけ持つかが、私はフロントマンの力だと思います。
私がフロントマン時代にやっていたことを紹介します。
1.マンションの定期訪問のとき、管理事務所や理事長を訪れる前にちょっと離れたところからマンション全体を見る。前回の総会や理事会や5年後10年後のマンションを思い浮かべながら、30秒でも1分でも何か自分の感じを確認する
2.共用部分の全体を見に行く。機械式駐車場、外壁…まずは自分の目で情報を得る
3.それから初めて管理事務所へ行き、管理員とお互いの情報交換をする
4.管理日誌を確認する
5.管理費等滞納者の自宅へ訪問督促を行う
6.すべての情報を仕入れた上で管理組合役員、専門委員等と会う。この際「あれどうなってなの?」と聞かれたときには少なくとも今の作業や進行状況の話ができるようにする。「後で調べておきます」とはしない
7.最後に管理事務所に戻り、管理組合役員等との会話の再確認を行う
私たちの仕事はとっても忙しいです。すると今あることしか見ない特性が身に付きやすいと自覚しなければなりません。今ある作業に必死に追われると、長い時間軸が見えなくなる。だけどお客様の5年後、10年後を考える習慣をつけるとお客様の将来のことを話していける。そういう習慣をみにつけるようにやってきました。

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6.管理費等請求権の消滅時効は5年

埼玉・草加のマンション管理組合がマンションの中古住戸を購入した区分所有者Aに対し、前区分所有者が滞納した管理費等約174万円の支払いを求めていた事件で最高裁は平成16年4月23日、請求時から「5年」さかのぼった約70万円を区分所有者Aに支払うよう命じました。 区分所有者Aは所有権を移転した当初、滞納の存在について、売主と管理組合との間で処理することを売主から聞いていましたが、管理組合は滞納の支払い義務が区分所有者Aに承継されたとして、支払い督促を簡易裁判所に申し立てました。 これを不服とした区分所有者Aが意義を申し立てて訴訟に発展していたのです。 最高裁で注目が集まったのは、管理費等請求権の消滅時効は5年か10年か―ということでした。 民法では、一般債権は10年、賃料、利息、年金などの定期給付債権は5年を消滅時効と定めています。 共有財産の維持管理のためのマンションの管理費等については、これまで下級審で5年か10年か判断が分かれていました。 今回の最高裁判断で管理費等請求権の消滅時効は「5年」という結論が出たといえるでしょう。 支払期限から間もなく5年が経過しようとする滞納管理費等がある場合には、次のような対応が考えられます。 「滞納管理費等の法的対応マニュアル/マンション管理センター」より 【時効中断方法の選定】 ・配達証明付きの内容証明郵便で催告(督促)(時効完成は6か月先に延超) ・滞納者から、滞納管理費等の債務が存在することの確認書的なものを出してもらうよう働きかける(これにより時効は中断し、改めて5年間の時効期間がスタートする) ・その上で、支払い督促や少額訴訟・通常訴訟等の提起、民事調停の申し立てなどの法的手続きを選択する 【時効は抗弁理由】 消滅時効期間が経過すると、管理費等支払請求権は当然に消滅してしまうものではなく、滞納者が時効の利益を受けようとする意思を表示(援用)したときに、初めて請求できなくなるものです。 したがって、5年経過した管理費等支払請求権であっても管理組合が当初から請求を差し控える必要はありません。 滞納者が消滅時効の援用をしなければ、5年以上経過した滞納管理費でも回収することは可能です。
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5.非協力区分所有者に59条競売を適用

定期総会で可決した電気幹線改修工事について、総会も出ずに反対し、工事の進行を妨害したとして、ひとりの区分所有者に対し、区分所有法59条に基づく競売請求を求めていた事案で、横浜地裁は平成22年11月29日、競売請求を認める判決を下しました。
被告は控訴しましたが、任意に部屋を売却して出て行く、和解金を払う等を理由に平成23年4月15日、和解が成立しました。
被告は以前から、ケーブルテレビ導入に伴う全戸のテレビ端子交換を拒否、雑排水管改修・浴室防水工事に反対して工事業者が室内に立ち入ることを拒否、各戸玄関扉の内外塗装、サッシ回りのシーリング工事を拒否するなど、マンション内のトラブルメーカーで、訴訟沙汰も今回が最初ではありませんでした。
横浜地裁は、被告は他の住民と協力して住環境の保全と向上を図ることには目を向けないという姿勢が顕著である、「(59条競売以外の)他の方法によってその障害を除去することが困難」な場合に該当する、などと判断し、59条競売の申し立てを認めました。
管理組合の運営に協力しないことは共同の利益に反する行為です。その行為が高じれば「所有権を剥奪する」という結果もありだという判決例といえるでしょう。

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4.大震災発生に備えて地震保険に入るべきか?

浜管ネット賛助会員のグッド保険サービスに聞きました。
一般的に管理組合が加入している住宅総合保険、マンション管理組合保険(積立型を含む)などの火災保険は、地震や津波による損害については補償されません。地震等による災害補償は地震保険でしか賄えないのです。
しかし、共用部分対象の地震保険を付けている管理組合はあまり多いとはいえません。それは、支払われる保険金額に制限がある割に保険料が高すぎるなどの理由が大きいようです。
ただし、今回の大震災では、横浜市内でも外壁のせん断亀裂があったり、タイルが崩落するマンションがありました。こうした被害には地震保険しか対応ができません。
そうすると、「なぜ地震保険に入っていなかったのか」という議論が管理組合内部で起こる可能性が出てきます。
浜管ネットとして「大震災発生に備えて地震保険に入るべきか?」の返答は、「地震保険を付保するメリット・デメリットを一度管理組合で検討してください」というものです。
こういう理由で地震保険を「付けた」「付けない」ということを住民に説明できるようにしておくことが重要なことだといえるでしょう。
地震保険の概要
マンションが被災した場合の地震保険金の支払いは3区分。
①全損:地震保険契約金額の100%(時価が限度)
②半損:地震保険契約金額の50%(時価の50%が限度)
③一部損:地震保険契約金額の5%(時価の5%が限度)
(例)
再調達価格2,000万円(時価額1,200万円)のマンションの場合
契約例:火災保険契約金額2,000万円(再調達価格で契約)で、地震保険の契約金額は付帯する火災保険契約金額の30%~50%の範囲内で、例では上限50%の1,000万円とします。
①地震による主要構造部の損害額 1,200万円(時価額の100%)
全損につき  1,000万円×100%=1,000万円のお支払い
②地震による主要構造部の損害額 540万円(時価額の45%)
半損につき  1,000万円×50%=500万円のお支払い
③地震による主要構造部の損害額 180万円(時価額の15%)
一部損につき 1,000万円×5%=50万円のお支払い
④地震による主要構造部の損害額 30万円<時価額1,200万円×3%
一部損の3%未満につき支払対象外
※主要構造部以外の損害は地震保険の損害程度の判定に含まれません。
例えば、地震による窓ガラスの損害は金額に関わらず損害に含まれないことになります。
ところで、今回の東日本大震災で広域かつ大規模な災害を招いたため、地震保険の料率がアップすることは確実だと言われています。
もし現在、地震保険の加入を検討されている管理組合があるとすると、地震保険の保険料改定前に加入する方がお得でしょう。長期契約(最大5年)も現行の保険料で5年分を確定できるので一考かと思います。
注意:地震保険は火災保険に付帯するので、長期の地震保険を付帯するには主契約の火災保険が長期契約である必要があります。
また現在、確定申告における損害保険料控除は火災保険に付帯される地震保険料部分のみとなっています(従来は火災保険、傷害保険等も損害保険料控除の対象でした)。
今回の大震災に際し、損害保険各社は可能な限り迅速かつ積極的な保険金支払を目指しており、損害の査定に関しても規定によらず簡略した損害査定により損害認定を前向きに実施しているようです。
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3.あなたのマンション保険をチェック!

1.マンション保険に加入していますか?
火災や漏水事故などのリスクに備えて、損害保険に加入するのは管理組合の仕事の一つです。もし加入されていない管理組合は、早急に加入を検討しましょう。また、すでに加入している管理組合も補償の対象はどのようなものか、期限はいつまでか等々一度、確認しておきましょう。
共用部分等に損害保険をかけるには、区分所有者が、その持ち分に応じて共用部分等の損害保険契約を締結するという方法もありますが、区分所有者が替わったときなど手続きが面倒なために、現在では管理組合が一括して損害保険をかける方法がとられています。
保険規約でいう共用部分とは、管理規約で定められた部分をいいますから、規約で明確にしておく必要があります。また専有部分の範囲については規約上、上塗り説(躯体部分は共用部分、上塗り部分は専有部分)の立場に立つことを明確にしておかなくてはなりません。(上塗り基準だと保険契約上の共用部分割合が60%として計算されます。)管理規約を一度、確認しておきましょう。
2.保険契約は誰が、どんな手続きで契約するの?
マンション標準管理規約に準拠した管理規約をもつ管理組合であれば、契約の度に個別に総会で決議を得るのではなく、規約によって、包括的に管理組合の損害保険契約を承認することになっていることでしょう。(管理規約を一度、確認しておきましょう。)
どの保険会社とどのような内容の損害保険契約を締結するかは、予算内であれば、特段の総会決議がない限り、理事長が決めることができます。
ただし、積立型の損害保険契約を締結する場合は、修繕積立金の運用という側面があるため、総会決議を経ておく必要があるでしょう。
また専有部分に関しては、理事長には、損害保険を付保する権限も保険金を受領する権限もないために、もし共用部分と専有部分を一括して付保する場合には、専有部分については個別に代理権限を理事長に授与しておくことも必要です。
3.保険の種類
1)火災保険
火災、落雷、爆発、風災等により生じたマンション共用部分の損害を補償するものとして「マンション総合保険」があります。基本補償の他各種特約を組み合わせて補償範囲を決めるのが一般的です。
2)地震保険
火災保険だけでは、地震や津波による損害(地震によって生じた火災や近隣からの延焼火災等)は補償の対象にならない、というのはご存知でしたか。地震に備えるには別途地震保険に入る必要があります。
3)施設賠償責任保険
マンション共用部分の管理上の不備や機械設備等の維持・管理上の不備によって生じた事故により、居住者や第三者の身体・財産に対して損害を与えたとき、管理組合がその賠償責任を負うことになった場合に保険金が支払われます。
4)個人賠償責任保険 洗濯機のホースが外れて階下に水漏れを起こし、天井・壁・家財等を汚損させたり、ベランダから誤って植木鉢を落とし、通行人にけがをさせてしまった等専有部分における偶然的な事故によって賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。 4.補償の中身をご存知ですか?
1)補償の対象は何か、まず確認しておきましょう。水漏れ事故が生じたとき、悩ましいのは原因が特定できないときです。原因を調べるための費用も、特約があれば保険金支払いの対象にすることができます。
2)特約は各保険会社でまちまちです。一度、何社かの見積をとって比較してみましょう。
例えば、「破損・汚損特約」に入っていると、「何者かにエントランスのガラスを割られた」「敷地内の街路灯が何者かに割られた」「外壁をスプレーでいたずら書きされた」等の被害も補償されます。
3)「床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を被る」おそれの少ない高台にあるマンションの場合、水災保険金を不担保にすると保険料は約10%強安くできます。各マンションの立地環境に合わせた中身になっているか検討してみましょう。
4)保険料の支払いには、分割払い(月払いや年払い等)と一括払いがありますが、一括払いだと保険料は割安になります。また5年や10年といった長期契約にした場合も保険料は割安になります。
5)請求漏れはありませんか。保険金請求の時効は2年。保険金は請求して初めてもらえます。補償の対象になるのに請求していなかった、というケースが多々あります。
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2.「排水管は共用部分?(専有部分の空間に存する配管)」

(1)排水管による漏水事故が起きた場合、管理組合は自らの責任で補修をやらなければいけないケースがある。
上階の排水管が下階の天井裏を通って立て管へつながっている設備を想像してみよう(浴室やトイレ等の配管にこの種の設備が多い)。
もし、この天井裏の排水管が老化による劣化で穴があき、下階の天井にシミを作っているような場合、この排水管の修理と天井の補修は一体誰がやるべきなのか。
(2)マンション標準管理規約では、共用部分の範囲を「別表第2に掲げるとおりとする。」として、廊下や階段等の「建物の部分」とエレベーター設備等の「建物の附属物」、そして管理事務室等の「規約共用部分」に分類して明示している。
もし(1)でいうところの排水管が専有部分であれば、当然上階の区分所有者は、この排水管の修理とシミを作った下階の天井の補修をやる義務がある。ところが、この部分の排水管は共用部分である、と最高裁は判断したのである(最高裁判決平成12・3・21門前仲町東豊エステート事件)。
(3)最高裁は、「本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし、建物の区分所有等に関する法律2条4項にいう専有部分に属しない建物の附属物に当り、かつ、区分所有者全員の共用部分に当ると解するのが相当」といっている。
第一審、第二審とも最高裁と同じ判断をしていたが、裁判所が一貫して共用部分であると判断した理由をもう少し詳しく見てみよう。
①本件排水管の設置された場所・・・天井裏の空間は607号室(下階)の専有部分に属すること。
②本件排水管の機能は、707号室(上階)の排水を・・・排水本管に流すという機能を有すること。
③本件排水管に対する点検、清掃、修理等の管理という観点からみると、707号室(上階)の区分所有者や占有者が点検、清掃、修理等を行うには607号室に入らなければならず、そのためには607号室の所有者または占有者の承諾を得なければならないこと。
④本件排水管と建物全体の排水との関連については、各戸の排水は、枝管を通して本管に流れ込むことになっているので、枝管を含めてすべての管が統一された形態と材質を有するものでないと管理上困難な問題が生じること。
⑤安全面から見ると、・・・1か所の水漏れの影響する範囲が大きくなる可能性があって、・・・枝管についても全体的な観点から管理する必要性が大きいこと。
(4)この判決は、排水管の設置された場所等を総合的に考慮して判断された結果であるが、一方、マンション標準管理規約を見てみると「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。」(マンション標準管理規約第21条1項)のは当然として、さらに、第2項では「専有部分である設備のうち共用部分と一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合はこれを行うことができる。」(〃規約第21条2項)としている点で、この判決の趣旨が反映されているといえるだろう。
管理組合は、日常的な管理を通して設備等の劣化の状態を把握しておかなければならず、そのためには、区分所有者は管理組合の行う管理について、例えば入室等の依頼があったときには協力しなければならないのである。

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1.最高裁、不在組合員への「協力金」徴収認める

平成22年(2010年)1月26日、最高裁は、不在組合員に対して管理費等とは別に「住民活動協力金」を追加徴収する規約改正決議の有効性を認める判決を下しました。
主な争点は、このような規約改正が不在区分所有者に対して、「特別の影響を及ぼす場合」(区分所有法第31条1項後段)に該当するかどうかでした。
ちなみに第31条1項には「規約の設定、変更または廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」とあります。
もし該当すれば不在区分所有者の承諾が必要となり、承諾のない決議は無効とされることになります。
実際、下級審の判断は二転三転しましたが、最高裁は、「管理が一部の組合員の労務によって賄われている場合には、労務提供を実質的に果たせない不在組合員に対して、その不公平感を是正する必要性、合理性、金額の相当性が認められる場合には、当該不在組合員の承諾がなくとも、管理費用の追加請求を求めることができる場合がある。」と判断しています。
この判決は、役員のなり手がいない等の深刻な問題を抱える管理組合にとっては、解決の糸口となり得るものといえます。
しかし、「不在」といってもやむを得ず不在を余儀なくされる場合もあることでしょう。この判決をそのまま応用するわけにいかない事情も管理組合によって様々です。
ある小規模マンションでは、不在区分所有者にも理事等の役員を輪番で割当てるなど、負担の「不公平感」を軽減しようとしています。
また居住者の高齢化が進むと、不在ではないにもかかわらず管理組合活動に参加できない区分所有者が多数になる場合にはどうするか、といった別の課題も見えてきます。
負担が偏ることで生じる不公平感と感情的対立を避けるにはどうするか、「コミュニティ」の知恵が試されていると思われます。

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