~持続可能な団地を目指して~
3/14 すすき野団地「未来会議」報告会&基調講演
すすき野団地では去る3月14日、未来会議の報告会を行い、基調講演を浜管ネット監事の山本育三氏(関東学院名誉教授)が行った。最初に開会宣言を森田自治会長が行い、つづいて川瀬管理組合理事長が開会あいさつを行った。来賓として浜管ネット加藤会長と横浜市住宅供給公社のあいさつの後、山本育三氏(浜管ネット監事・関東学院大学名誉教授)が「100年マンションへの取組み」~若葉台の事例・動的管理の提唱~と題して基調講演を行った。
基調講演では、地域管理組合の組織化の取組み事例として若葉台管理組合協議会設立の経緯の概要が紹介され、さらに若葉台管理組合協議会がこれまで取り組んできた「長寿命化のための活動」の主な項目と概要が紹介された。
- 若葉台の取組みの紹介
若葉台100年マンションプロジェクトの2016年当時のコンセプトは、
①建替えることなく100年間価値ある住宅にする
②高齢者だけでなく子育て世代にも優しい住宅にする
③若い世代に“魅力あるまち”として転入を促進し、持続可能社会を構築する、というものであった。
管理理規約の冒頭に100年マンション憲章を掲げている管理組合もあり、憲章には地域の環境を守り、世代が無理なく“循環”していく団地を目指す、と謳われている。また、管理組合が専有部分の老朽化した配管類の交換工事を、共用部分の配管類と一体として管理組合の費用負担で行えるようにいち早く規約の改正を行い、建物の経年に合わせて柔軟な管理を行う、いわゆる“動的管理”を実施してきた。
- 報告会
報告会では小柴健一相談役(前理事長)が未来会議の経緯を説明した。すすき野団地では持続可能な団地を目指して「未来会議」を組織化し、さまざまな課題に取り組んでいる。
団地再生まちづくりプランでは、
1.目標(ビジョン)と使命(ミッション)
2.行動(アクション)A ソフト(ヒト)団地に大きな家を作る
3.行動(アクション)B ハード(モノ)団地の魅力アップ
4.行動(アクション)C 運営・情報(コト)計画実現
5.使命(ミッション)と行動(アクション)関係性、を掲げ、その具体的取り組みにおいては、実施済には◎、優先して取組みには○、検討を継続には●をつけて検証を行っている。
行動(アクション)には、
①ガーデンクラブ
②車座会議
③団地の保健室
④自主防災組織
⑤相互見守りシステムの構築
などがある。
- 団地の底力=驚異の実践力
団地内を歩いてみると「ミツバチぶんぶんプロジェクト」と書いた標識があった。
一つひとつのプランにはそれぞれ具体的な活動目標が掲げられており、言葉だけの標語にはなっていないところがこの団地のすごい“底力”=“実践力”だ。
マンション・団地の将来像をこれほど明確に、かつ、整理して取り組んでいる団地は少ない。
- 将来像を描くこと
将来像を描くのは容易でない、と考えている管理組合は多い。今後、急激な人口減と超高齢化社会が到来する。管理組合は自分たちの将来像をどのように描くのか、すすき野団地の取組みは大いに参考になることだろう。なによりも豊かな想像力が問われている。
地域コミュニティの中心として団地が再生していけば、地域の活性化につながる、といった視点も重要だ。(編集部)