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総会における書面決議

Q:書面決議の検討をしたいのですがその際「全員の承諾」を得なければならないとあります。小規模のマンションなら可能かもしれませんが、当マンションは150戸もあり全員の承諾を取るのは容易ではないと考えられます。
実際に昨年書面決議を行えた組合はあるのでしょうか。
書面決議を行うこと(承諾する・承諾しない)と、議案に対する議決権の行使(賛成・反対)を同時に書面で行うことは可能でしょうか。昨年は人数制限をして1ヶ月遅れで総会を行いましたが、今年は会場そのものが確保できないおそれがあり苦慮しております。
以上よろしくお願い致します。


A:以下の回答は、貴管理組合の管理規約が標準管理規約(以下、「標準規約」といいます)に準拠しているものとしてお答えします。また、電磁的方法が利用可能な場合を想定しています。


●「実際に昨年書面決議を行えた組合はあるのでしょうか」
昨年、浜管ネットで実施したアンケート結果を見てみると、アンケートに応えた管理組合52件のうち7件で書面決議を行っています。書面決議を行った7件のうち、戸数20戸未満が2件、50~100戸未満2件、100戸以上が3件という内訳です。全員の承諾をどのように採ったかはこのアンケートでは不明ですが、書面決議を行うにあたって全員の承諾を取るのは「大変ハードルが高い」のは事実です。アンケートを実施したわれわれも驚いた結果でした。

(※アンケート結果は「浜管ネット通信第30号」に掲載されています。ホームページでも見ることができます。)


●書面決議を行うこと(承諾する・承諾しない)と、議案に対する議決権の行使(賛成・反対)を同時に書面で行うことは可能でしょうか。」
 議案ごとに、書面で決議を行うことに承諾をもらうことと、各議案に賛成かどうかを問うことは全く別の手続きです。まず、書面決議を行うことの承諾を求める手続きは、総会の招集が行われ議案の内容が示されていることが前提になっています。つまり、各議案を提示して、議案ごとに書面決議を行うことを承諾するか、拒否するかを問う手続きになります。ただし、あらかじめ決議全般について包括的に承諾を得ることはできません。
 総会を招集する理事長は、集会を開催せずに①電磁的方法により決議を実施すること、②書面による決議を実施すること、または③書面又は電磁的方法により決議を実施することのうち、どの方法による決議を実施するかを示して承諾を得る必要があります。(③を提示した場合は、区分所有者が任意に、いずれかの方式を選択して議決権を行使します。)

区分所有者の全部または一部から書面又は電磁的方法により書面による決議を拒む申出があったときは、書面による決議を行うことができません。
つぎに書面による決議を実施することについて区分所有者全員の承諾があった場合は、理事長は、各区分所有者に対して決議すべき事項を通知して、各区分所有者が議長に対して賛否等を記入した書面を提出する方法等(あらかじめ提示した①~③いずれかの方法)で決議を行うことになります。(※さらに書面又は電磁的方法による決議が行われる旨、議案等を建物の見やすい場所に掲示しておきます。)書面決議を行うことに対して承諾をとることと、議案に対する賛否を問うことは全く別の手続きですので、混同しないように注意が必要です。
また、書面決議を行ったとしても、理事長は、いずれ臨時総会を開催して事務に関する報告をする必要があります(区分所有法(以下、「法」といいます)43条)。
また、賃借人に対しても総会における意見陳述権(法44条1項、標準規約(単棟型)45条)を保証しなければなりません。議案について利害関係のある賃借人は、議長(理事長)に対して意見を述べ、議長(理事長)は、賃借人が陳述した意見を区分所有者全員に通知する等の措置が必要となります。

(以上、参考文献「コンメンタールマンション区分所有法」第3版稲本洋之助・鎌野邦樹著)

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