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Q&A 番外編 騒音トラブルを考える

相談室
騒音トラブルは、共同住宅であるマンションに住む以上避けて通れない宿命のようなものだといえます。浜管ネットに持ち込まれる相談件数の中でも最も解決が難しいトラブルの一つです。
上下階において生じるトラブルとはいえ、居住者は上階、下階を問わず「加害者」となり、また、「被害者」となるという特徴があります。音に対する感受性には個人差があり、人によって「うるさい」と感じる度合いが異なることに起因する、きわめて個人的で特異なトラブルだといえます。
音に対する一定の寛容さは、共同生活において求められる生活態度の一つといえますが、管理組合には「何とかしてほしい」といった訴えが絶えることがありません。浜管ネットにも繰り返し相談が持ち込まれるトラブルの一つです。
■管理組合が関与する場合
管理組合としてはこの上下階の「音」のトラブルにどのように対処したらいいのでしょうか、これまでの相談事例を参考に整理してみます。
まず、管理組合はこの「音」のトラブルにどこまで関与すべきか、です。
上下階で「音」のトラブルが起きたとき、まず、「被害者」は「加害者」に対して「迷惑している。改善をお願いしたい」と伝える必要があります。しかし、効果が得られない場合には管理組合へ「何とかならないか」と善処を求めます。
管理組合は、被害が複数の住戸に及んでいないと判断した場合には、せいぜい掲示板や「管理組合だより」などで、日常生活における注意事項として家庭内での騒音に気を付けるよう呼び掛けることになるでしょう。
被害が広範囲に及んでいる、または広範囲に及ぶおそれのある場合には、共同利益背反行為として勧告、指示、警告等を行うなど、管理組合が当事者になるというのが基本的な管理組合の立場になります(標準管理規約66条(義務違反者に対する措置)や67条(理事長の勧告及び指示等)を参照してください。)。
■受忍限度という考え方
「音」のトラブルは原則、「音を出している方」(加害者)と「うるさいと感じる方」(被害者)の間の、当事者同士の問題だといえます。訴訟では「騒音の違法性」について、がまんの限界を超えているか否かを判断する「受忍限度」という考え方が用いられます。しかし、被害が受忍限度を超えているかどうかの判断は難しく、裁判所は、具体的な被害の態様やその程度、建物の遮音性などの生活環境、被害の状況の経過と被害の防止が採られたか否かなど、総合的に考慮して判断するようです。
うるさいと感じる被害者は、騒音が発生した時間やその時の騒音測定器の記録などをとっておくことが大切だともいえます(騒音測定器は、横浜市環境創造局大気・音環境課で貸し出しています。)。
一方、「被害者」は訴訟に至る前に「音を出している方」(加害者)に根気よく、説明し理解してもらう努力も大切です。「被害者」の訴えに「加害者」がどう応じたかも裁判所では勘案されるからです。
■対処法の紹介
(※以下は、NPO法人福岡マンション管理組合連合会発行の「管理組合読本」から拝借・引用しています。)
Q)4階に住んでいるのは夫婦と小さな子供二人です。夜遅くまで子供の飛び跳ねる音やテレビの音が響いて眠れません。どうしたらいいでしょうか。
A)上階の方に「うるさいので静かにしてほしい」と伝える前に、他の人に騒音と思うかどうか聞くなど慎重に判断する必要があります。手順は次のようなものです。
①管理組合や管理会社に室内で上階の音を聞いてもらいます。
②我慢すべき限度を超えた騒音と判断された場合は、マンションの掲示板や回覧でごく一般的な内容の、騒音防止を呼び掛けてもらいます。
③さらに騒音が続くのであれば、管理組合の役員や管理会社と一緒に上階を訪問して、騒音防止に協力いただくように申し入れを行います。
④それでも止まない場合は、専門家に相談するか、騒音計で計測するなどしておきます。
⑤最終的に歩み寄りがなければ、裁判所の民事調停か、「裁判外紛争解決手続き」(ADR)の利用を勧めます。
⑥それでも解決ができない場合は、訴訟に持ち込むことになると思います。
Q)階下の住人からたびたび騒音の苦情電話があります。時には歩くだけで天井をつつかれます。音をたてないように気を付けていますが、気が滅入ってしまいます。我慢するしかないのでしょうか。
A)マンションに住む以上は、ある程度の生活音は我慢すべきです。棒で天井をつつくなどの実力行使は認められません。騒音を理由に3年間も天井を突き、抗議電話を掛けたり大声で怒鳴ったりした人に、暴力行為に相当する違法行為として200万円の損害賠償を命じた判例もあります。
まずは管理組合か、管理会社に相談してください。管理規約や細則に違反している行為に対しては管理会社は、中止要求を行わなければなりません。管理組合は、必要であればマンションの掲示板に注意書きをします。また、階下の住宅を訪れ騒音の事実を確認し、抗議の理由を聞きます。双方の話し合いは管理組合立会いの下に行うのがよいでしょう。どうしても歩み寄りが見られない場合は弁護士に依頼し、調停や訴訟に移行します。
管理組合はトラブル防止のため、日ごろからコミュニティ形成に努めることが大切です。

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