マンション大規模修繕は、現在では改修工事に関する情報も豊富で、数多くの技術書が発刊されており、工事においてもその技術は、これまで個々に現場で実践されてきた蓄積をもとに、一定の確立がなされてきました。しかし、現在のマンション改修工事に関しては、標準的な仕様書や技術指針では十分にカバーできない、実際の現場での課題の解消や対策に活用できるマニュアルが必要です。また、同時にこれからの活躍に期待する若い技術者の育成は、喫緊の課題となっています。
この度、マンションリフォーム技術協会では、実際の工事現場で起こりうる様々な局面での問題解消や対策に活用できる技術仕様書として、「マンション修繕工事 施工実践マニュアル」が作成されました。作成にあたっては3年の月日を費やし、メーカーが製品に込めた思いや施工者が現場で抱える苦労や工夫をくみ取り、現場監督や設計監理者が修繕工事に臨む際の注意点をまとめあげて、実際の施工現場における課題の解消や対策に活用できる“実践的”マニュアルとなることを、目指して作成されたものです。
浜管ネットには、正会員である管理組合をサポートする建築・設備などの設計監理者及び企業が、賛助会員として参加しています。マンションリフォーム技術協会にも、浜管ネットの多くの設計監理者や企業が所属しています。
そのマニュアルを使用して、浜管ネットでは施工会社賛助会員の若い技術者に対して、マンションリフォーム技術協会と浜管ネットの設計監理者が講師となってセミナーを開催いたしました。受講者へは工事現場管理業務に支障が無いよう、夜間の時間帯で開催いたしました。
「マンション修繕工事 施工実践マニュアル」は上巻と下巻との構成になっており、上巻では大規模修繕における基幹工事である「防水工事」「シーリング工事」「塗装工事」を、下巻では「タイル工事」「下地補修工事」「建具・金物工事」「外構工事」「仮設工事」の構成になっています。
開催にあたっては、上巻のマニュアルを使用したセミナーを3日間で行い、下巻では2日間での連続セミナーとなりました。
会場は、上巻セミナーは「かながわ県民センター」の60名収容の部屋で行いましたが、3日間のセミナーに延べ144名の参加があり、受講者に窮屈な思いをさせてしまいました。そのため下巻セミナーでは会場を広くして「横浜市開港記念会館」で行い、2日間で延べ123名の参加がありました。
各セミナーが夜間開催と言うことで、現場から作業着姿で駆けつけていただいた様子は、まさに夜学のようで、工事ごとの講師を担当した設計監理者は、数多くの現場での経験を惜しみなく若手現場技術者へ伝えようと、また、受講者も必死にマニュアルに書込みをしている様子は、若い技術者を育てようとする第一歩に思えました。
下巻セミナー会場：講師と受講者
下巻セミナー会場：横浜市開港記念会館