7月18日(木)、建築分科会Aグループは、かながわ県民センターで「初めての大規模修繕工事」と題してセミナーを開催しました。
今回のテーマは、築12年ほどでマンションが初めて迎える第1回目の大規模修繕工事の実施にあたり、どんな準備が必要か、業者の決定は、工事着工から完了まで、工事後のアフター点検と委員会の継続についてなど具体的な説明がなされました。
第一部は技術者部会 岡田英二氏により、「大規模修繕を成功させるために」と題し、とかく第1回目の工事は知らないうちに終わってしまいがちであることから以下の点の指摘があった。
①管理会社任せではなく、居住者のコミュニティ・協力を入居時から習慣づけることが必要であること。
②経年による傷み・定期的な手入れと更新・バリアフリー化・性能向上など工事について長期修繕計画の作成を通じて理解を深めること。
③大規模修繕の準備として修繕委員会を立ち上げ、建物を見る・知る、修繕内容を理解することは重要で、良いパートナー・工事業者と手を携え、居住者への広報することが必要であること
などまず説明がありました。
第二部は専門業部会 角張清氏が「施行者選定と総会決議」について、
見積業者募集→見積業者選定→見積査定・ヒアリング業者選定→ヒアリング作業に至る過程が全体の流れとして説明された。
①見積依頼会社リストアップでは工事着手までの余裕を持つこと
②見積依頼会社の選定(一次書類選考)ではコンサルタントのアドバイスを活用すること
③見積精査(二次書類選考)では組合予算との照合・要求品質に確保
④面談~ヒアリング(最終選考)では現場代理人の人柄が重要で、金額の安かろう悪かろうは避ける
⑤総会決議~工事発注(契約)では区分所有者に対し選定根拠を明確に広報すること
などが説明されました。
第三部は専門業部会 宮田潤氏が「工事の準備~工事の完了」につき、
①居住者・区分所有者に対する工事説明会の重要性、仮設物・足場による生活の支障(バルコニーの使用制限・荷物の片づけ等)について理解を得ること。
②工事完了まで工事の進捗・工事内容・居住者からの照会等につき、管理組合(専門委員会)、コンサル、工事施工者で定例会議を行うこと、工事項目ごとに検査確認を行うこと。
③下地補修については当初の見込みと乖離することが多く、実数精算のための補修完了検査などが重要となること。
④引渡しは竣工図書の引渡し日とすることなどが具体的に説明されました。
第4部は専門業部会 安達英彦氏が「アフターと次回大規模修繕工事まで」と題して、アフター点検は工事完了後10年間、毎年のように継続的に行われる。管理組合は工事完了後修繕委員会を解散せず継続させることが必要。そして次の工事に向けた機能回復だけでなく改良工事が検討項目や、取組・長期修繕計画の見直しも必要になると説明があった。
講師の話に続き、参加者からいくつもの質問が出された。回答しにくい質問もあったが、技術者部会の小島孝豊氏はじめ4名の講師からわかりやすい回答がなされた。
講師の話も理解しやすかったと、熱のこもったセミナーとなった。