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災害リスクに備える~巨大台風と水害~

昨秋、たて続けに台風15号、19号に見舞われた関東地方。とりわけ台風19号は、巨大台風と喧伝されていたこともあり、われわれは緊張した一夜を過ごすことになった。一夜明けてみると被害は広範囲に及び、河川の氾濫や土砂崩れなどによる死者は13都県90人に上っている。

【マンションの被害は】

強烈な風や豪雨の影響を受けて、神奈川県でもガラス窓やパーテーションボードの破損、樹木の倒壊だけでなく、地下駐車場、エレベーターピットへの浸水や漏水によるエレベーターの停止など、多くのマンションで何らかの被害を被っている。地下にある変電設備が「内水氾濫」による浸水被害にあった超高層マンションでは、停電によってエレベーターは停止、給水ポンプも停止し断水となりトイレも使えない状況になった。

<内水氾濫とは、排水路や下水管が雨水を流す処理能力を超えた場合や、川の水位が上昇して水を川に排出することができなくなったとき、市街地などに溢れてしまう浸水のことをいう。>

 

 

 

鶴見川流域の新横浜近辺では、鶴見川の水位上昇によって内水氾濫が起き、地下駐車場への浸水被害を食い止めるのに躍起となるマンションもあった。幸い大きな被害は免れたが、思いもよらぬ水害リスクに大いに慌てることになった。

一方、台風15号の風の強さも尋常ではなかった。横浜市金沢区の護岸では高潮によって広範囲に浸水被害が出た。堤防は破壊され、近辺の木々はなぎ倒されて台風による高波の破壊力を見せつけている。護岸沿いの工業団地では窓ガラスが割れ、建物への浸水被害も生じた。昨年は関西国際空港が「水没」、甚大な被害を被ったが、巨大「高潮」への警戒や備えも忘れてはいけない。

【想定外では済まされない台風被害】

河川の氾濫は約300河川に及び、堤防の決壊は17河川140か所にもなった。このように台風による豪雨がもたらす大水害は、もはや「想定外」ではないと考えておくべきだ。地球温暖化によって、この100年間で日本近海の海水温は1.12度上昇。台風は超巨大化しており、千葉県では台風15号の来襲で多くの電柱がなぎ倒され、風も雨も今まで経験したことのないような強さになり雨量となった。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、21世紀末までにほとんどの地域で極端な降水がより頻繁に発生する、と予測している。

【リスクに備える】

日本は昔から水害列島といわれるように、多くの水害に見舞われてきた。水害に対する先人たちの知恵に学び、貴重な経験から対応力を身につけていくことも必要だ。長老や古老といわれる方が身近にいなくなり、適切な判断が下せる人材がいないと、マンション住民は孤立した状況におかれる。日ごろから地域活動に積極的に参加して、コミュニティを育て、底力を蓄えておく一員となるべきだろう。

横浜市の各区にはハザードマップが備えられ、各家庭にも配られているはずだ。ハザードマップには「内水氾濫」の危険地域も図示されており、意外なところで「内水氾濫」の可能性があることがわかる。このハザードマップを参考にした防災訓練が十分に行われているか、考えておく必要がありそうだ。(編集部)

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