Q:新型コロナウィルスの感染拡大により、通常総会を予定通り開催できそうもありません。どのように対処すべきでしょうか。
A:3月会計年度終了の管理組合では、4~6月に通常総会開催が集中しています。オリンピック・パラリンピックも延期となり、感染拡大は収まらず、日ごとに状況が悪化しています。
感染拡大が早期に収まる見通しがあれば、総会開催の延期も選択肢にありましたが、危機的状況が長期化する様相を呈している現状を考えると、延期したところでその後の総会開催の目処すら立たなくなっているといえます。そこで、総会は予定通り開催するとして、居住者の安全確保を最優先に、できるだけ審議を簡素化して行うことが可能か、または来場していただかずに開催する方法はあるか、検討しておきたい留意事項を下記に整理してみました。
(1)予定通りの日程で開催する場合
①会場での安全対策(マスク着用、室内換気)など感染予防を万全にして、短時間の運営を図る
②できるだけ参加を控えていただくよう、委任状・議決権行使書の提出をお願いする
③議案書も分りやすい内容を工夫する
④事前に、議案に関する質問を受けつけることを知らせ、組合員全員に書面等で丁寧に回答する
などが考えられます。
しかし、会場をマンション外の施設の利用を予定している場合には、多くの施設が閉鎖となってしまい、延期もやむを得ない管理組合もあると思います。
(2)延期せざるを得ない場合の対処方法
理事会では、やむを得ず総会を延期することと合わせ、以下を決議しておきます。
①現役員が、後任役員が就任するまで職務を行う(標準規約36条3項)
②総会までの会計支出については、今期予算に基づいて執行する(標準規約58条3項)
③管理会社へ委託している場合は、同一条件で暫定契約を取り交わす、などです。
やむを得ず総会延期に至った経緯や理事会の決議(上記①~③)を説明し、理解してもらいます。その後、総会を開催できる状況になった場合には、理事会決議(上記①~③)に従い業務を行ったことを報告し、改めて新役員の選任、決算・予算案、委託契約更新について決議します。
総会延期について法務省から、「今般の新型コロナウィルス感染症に関連し、前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会が開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」との見解が示されています。
(3)書面による決議で行う場合
最悪、総会が開けない場合、「書面による決議」(区分所有法45条1項)の規定により、組合員全員の承諾を得た上で、書面による決議ができます。組合員全員の承諾が比較的得やすい小規模マンションなどでは、今回のような非常時における総会開催について、検討に値する方法だと思われます。
マンションの規模、管理の形態、集会室の有無、議案の内容、総会の進め方、そのほか管理組合ごとに状況や対応が異なると思いますが、感染防止を第一に理事会主導で乗り越えていくほかありません。
とはいっても、その理事会開催も自粛し、メールでの確認や三役(正副理事長等)会議で対処しているところもあることでしょう。
昨今の状況を教訓に、緊急時の総会開催の可否の判断や手順、管理組合運営(特に理事会)の在り方について、規約や細則等で規定しておくことも必要だといえるでしょう。(編集部)