2020年2月5日午前8時ごろ、高さ約15メートルの斜面が崩落し、通行中の女子生徒が死亡した事故。遺族への補償や現場の復旧費用などはどうなったのか。
マンション管理新聞第1157号の記事によると、応急工事費の約3、750万円を管理組合が負担し、本復旧工事費5、264万円を市が負担することで合意したという。
このマンションは築16年、38戸の小規模マンションであるが、管理組合負担分については13年間にわたり分割して市に払うことになった。管理組合はそれに加えて遺族への賠償金の支払いなど金銭的負担が重くのしかかる。逗子市は当初、本復旧工事費もマンション側が負担すべきものとしていたが、負担をすべてマンション側に負わせると「片側通行の状態が長期間続く」懸念や「尊い命が失われたこと」を勘案し、早期復旧が必要と判断したようだ。現場は民有地(マンションの敷地)。神奈川県は2011年11月に土砂災害警戒区域に指定していた。
≪がけ地の管理責任は?≫
がけ地の管理責任はマンションの管理組合にあり、一定期間ごとの点検が必要であったはずであるが、このマンションでは点検が十分行われていたか、また、管理組合の側にがけ地そのものを管理する認識があったかどうか、われわれも他山の石としたい。
崩落によって尊い命が失われたことに多くの管理組合関係者は衝撃を受けた。がけ地の管理に対して「無関心」であったことに対する警鐘となった。
横浜市にはがけ地を擁するマンションが多い。何気なく見上げていたがけ地。木々が生い茂り、崩落する気配を感じることもなくただ通り過ぎているのではないか。
土地の所有者(多くのマンションの場合、土地は区分所有者の共有になっている)は、がけ地に設置されている擁壁を安全に維持管理する責任がある。
≪日ごろから点検が大事≫
浜管通信30号では「土砂災害防止法とは?土砂災害から命を守るために」と題した記事を掲載している。もう一度読み直してみると、日ごろからがけ地の点検や補修などに努める必要があるが、この日常的な点検等をだれが行うのか、特に法的な定めはなく、ガイドラインがあるわけでもない。結局、所有者の団体である管理組合(例えば防災委員会等)の仕事になると結論づけている。(防災WG)